指導:東京慈恵会医科大学外科教授

   青木 照明

大きめで下垂した胃は、食物がたまりやすい

 大食漢で太った人は、胃も大きいとはかぎりません。胃拡張で大きくなった胃は、J型に曲がり、普通よりも下がっているので「下垂胃」と呼ばれ、やせた人に多いのです。下垂胃は食べたものがたまりやすいために、見かけとは反対に食べられません。

胃・十二指腸潰瘍を繰り返すと、胃が大きくなる!?

 十二指腸潰瘍を繰り返すと下垂胃になる場合があります。十二指腸潰瘍が治るにつれて、表面にひきつれが起きます。これを何度も繰り返していると、ひきつれによって胃の出口である幽門が狭くなり(幽門狭窄)、食物が通りにくくなってしまいます。食物がたまってしまうため、胃はやや拡張ぎみになり、下がってきます。こうなると、嘔吐や腹部膨満(お腹がはった感じ)などの症状がみられるようになります。

 胃潰瘍を繰り返す場合も要注意です。周囲にがんができることがあり、それが原因となって幽門狭窄を起こすこともあるからです。
 胃・十二指腸潰瘍は、治りやすい半面、再発を繰り返すという特徴がありますから、しっかり治療して、治った後も生活上の注意が必要です。

適度な全身運動とリラックスを心がけましょう

 もうひとつ気をつけたいのが、ストレスからくる「衝動食い」です。ストレスは胃の運動を抑えてしまいますから、そのようなときの大食は胃拡張の原因になります。もし、下垂胃といわれたら、全身運動をしたりリラックスするよう心がけましょう。胃の筋緊張が高まり、食物が通りやすくなります。


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