指導:東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科教授

   池田 義雄

「生体恒常性機能」が追いつかない

 冷房のお世話になる季節がやってきます。この時期、体がだるい、足腰が冷える、頭痛がする、といった症状で悩む人が多いようです。

 私たちの体は、汗をかいたり鳥肌を立てたりして環境の変化に自然に対応しています。これらは「生体恒常性機能」と呼ばれ、自律神経がつかさどっています。しかし、暑い戸外と冷房のきいた室内を何回も往復するうちにこの機能が乱されてしまい、体の不調として現われるのです。特に、お年寄りは自律神経の働きが鈍っているため温度の変化に弱く注意が必要です。

外気温との差と湿度がポイント

 温度と湿度がともに高ければ「不快指数」も高くなります。室温が26℃であっても湿度が50%であれば不快さの少ない状態(不快指数75)であるといわれています。冷房中の室内は外気温より5〜7℃ぐらい低く(真夏では27℃前後に)設定し、同時に除湿をすれば体感温度を適度に保つことができます。不快でない程度に外気に近い状態の室内が体にとってはよい環境で、冷房病の予防に役立ちます。

まめに自衛を・・・

 しかし、仕事で一日中室内にいる方、冷え症の女性などについてはどうでしょうか。一般に、女性は夏は男性よりも薄着で、特にスカートは冷えやすく、また室内にいる時間が長ければ長いほど冷えやすくなります。冷房の吹き出し口近くでは風速も低温の原因になっています。戸外に出る時は日陰で体を慣らしてから出かけるとか、夜寝る前にぬるめのお風呂にゆったり入って血行をよくするなど、冷房による体の不調を予防するためにはまめな自衛が効果的です。




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