指導:杏林大学医学部第二内科教授
   石川 恭三

肝臓と脂肪の関係
 肝臓の役割のひとつに、脂肪をほかの物質に変えて利用したり、エネルギーに変える働きがあります。そのため、肝臓にはふだんでもその重さの2〜3%くらいの脂肪がありますが、これが10%以上になった場合に「脂肪肝」といいます。その名のとおり肝臓に脂肪、特に中性脂肪がたまってしまった状態が「脂肪肝」なのです。

「脂肪肝」の原因とは?
脂肪肝には次のような原因が考えられます。
  1. 食べ過ぎ:カロリー過剰の食事、特に糖質、脂質に富んだ食べ物をとり過ぎると、皮下脂肪と同じように肝臓にも脂肪がついてしまいます。運動不足も関係しています。
  2. 肥満:脂肪がエネルギーに変わるためにはインスリンが重要な働きをしていますが、太ってくるとその効き目が低下してきます。すると、体中のいろいろな所にある脂肪が離れやすくなり、肝臓に運ばれてたまってきます。また、肝臓の中での脂肪の合成も盛んになります。
  3. アルコール:お酒を飲み過ぎると肝細胞の中での脂肪の入れ替わりがうまくいかなくなり、肝臓に脂肪がたまってきます。
  4. その他:糖尿病や甲状腺・下垂体・副腎などの内分泌の病気があると脂肪肝になることがあります。

脂肪肝はなぜ悪い?
 アルコール性脂肪肝の場合に全身のだるさ、食欲不振などがあるほかには、特に症状は出ないのが普通で、ほとんどは健康診断の際、血液による肝機能検査や超音波検査で偶然に発見されます。 脂肪肝そのものは比較的良性の病気で、アルコール性の場合を除いては肝硬変へと進むことはまずありません。 しかし、脂肪肝が起こるような状態は、いずれ心臓や血管系の病気(心筋梗塞、動脈硬化など)を引き起こす原因になりかねません。食べ過ぎ、肥満など、脂肪肝を招く生活習慣を改善する努力が必要です。

 


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