Vol.2公開:令和6年7月
カフェイン中毒
埼玉医科大学医学部臨床中毒学 教授
上條吉人
カフェインとは
カフェインは茶葉やコーヒー豆などに含まれている植物由来のアルカロイド※です。私たちはこのカフェインを緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどの嗜好品の他、感冒薬(かぜ薬)、鼻炎薬、眠気・だるさ防止薬などの市販薬やエナジードリンクなどから日常的に摂取しています。
※アルカロイド:植物に存在する窒素を含む塩基性有機化合物の総称。有毒なものが多く、微量で人や動物の体の機能に影響を及ぼす。ニコチン、カフェイン、キニンなど約500種類ある。中には薬用となるものもある。
カフェインの作用は
カフェインは脳を刺激して、頭痛を和らげたり、眠気やだるさを解消したりします。前述の市販薬やエナジードリンクはこの作用を利用しています。また、腎臓に作用して尿の量を増加させたり、心臓を刺激して心拍数を増加させたりします。
カフェイン中毒とは
カフェインを短時間で1~3g以上摂取すると、前述した体の機能への影響が増強されて中毒になります(表1)。さらに、5g以上摂取すると重症となり、生命は危険にさらされます。とりわけ問題となるのが脳と心臓です。脳への刺激が増強されると、眠れなくなるだけでなく、吐き気がして嘔吐したり、頭痛や耳鳴りがしたり、イライラして落ち着かくなったり、手足が震えたり、筋肉がこわばったりします。重症になるとひどく興奮したり、錯乱状態になったり、幻覚や妄想が起きたり、痙攣発作が起きたりします。心臓への刺激が増強されると、心拍数が1分あたり100回を超えて動悸を自覚するようになります。重症になると心拍数が1分あたり140回を超えて血圧が下がってショック状態となったり、心室頻拍や心室細動といった不整脈が生じて、心臓が止まってしまいます。
カフェイン中毒を防ぐには
カフェインは、短時間に摂り過ぎないように、適度な量を適度な間隔をあけて摂取することがとても大切です。コーヒーには1杯(150mL)あたり90mg程度のカフェインが含まれています(表2)。
前述の中毒量からすると、中毒になるには短時間に11~33杯以上もコーヒーを飲まないとなりません。1缶あたり80mgのカフェインを含んでいるわが国で一番人気のあるエナジードリンクでは、短時間に13~38缶以上も飲むことに相当します。ところが、1錠あたり100mgのカフェインを含んでいるわが国で一番人気のある眠気・だるさ防止薬では、10~30錠以上に相当し、比較的容易に、しかもエナジードリンクに比べてはるかに安価で摂取できてしまいます。私たちが行った調査では、救急搬送されるカフェイン中毒の患者さんのほとんどは市販の眠気・だるさ防止薬を摂取していました。
カフェインを高濃度に含んでいる市販薬は、容易に「毒」に化けるので、注意が必要です。
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