Vol.4公開:令和6年11月
身近な人のギャンブル依存が心配なとき
-病気であることを理解しましょう-
久里浜医療センター 院長
松下幸生
ギャンブル依存とは
一般的によく「ギャンブル依存」と呼ばれますが、「ギャンブル障害」または「ギャンブル行動症」が正式な病名です。表1のような症状がよく見られます。
ギャンブル依存の人は、成人人口の1.6~2.2%いると推計されますが、家族や大切な人がギャンブルの問題を抱えている人を含めると14%にも達すると言われており、ギャンブルの問題は日本人にとって身近な問題と言えます。
ギャンブルを始めてしばらくの間は楽しむこともできますが、借金などの問題が大きくなってくると、お金を稼ぐことが目的になって楽しめなくなります。また、ギャンブル依存では、高血圧、肥満、不眠が増加する、高齢者では心血管疾患の発生率が増加するという研究報告もあり、健康上の問題とも関連しています。ギャンブルによる経済問題や自身の健康問題などが生じて、深刻になると、うつ・不安、自殺、犯罪など関連する問題の原因にもなります。家族に対する影響も大きく、信頼関係が壊れたり経済問題が起こったりして、家族にとっても大きな負担になります。
早く気づくには
ギャンブル依存は早期に見つけることが難しい病気です。最近はインターネットを使ったギャンブルもできるようになり、隠れてギャンブルすることが容易になったため、家族も知らない間に借金が膨らんでしまっているというケースも見られます。
家族がギャンブルをしていることに気づくためには、日頃から話しにくいことでも話せる関係づくりを心がけておくとよいでしょう。ギャンブル問題が発覚しても、責めたり感情的になったりせずに冷静に話し合う姿勢が大切です。心配していることを伝えて、医療機関や精神保健福祉センターなどの公的相談窓口に相談するのがよいでしょう。もし、本人が受診や相談に同意してくれなくても、家族だけの相談にも応じてくれます。また、家族向けの自助グループ(※1)に相談することもできます。
※1:自助グループには、ギャマノン<https://www.gam-anon.jp/>、
全国ギャンブル依存症家族の会<https://gdfam.org/>などがあります。
どのようなサポートができるか
借金に苦しんで家族に相談することもありますが、借金の肩代わりはしないようにしましょう。肩代わりしてしまうと、自身のギャンブル問題に向き合えなくなります。経済的支援はできないけれど、回復の支援はすることを伝えて、専門医療機関への受診を促しましょう。ギャンブル依存には、全国に拠点となる医療機関や相談機関があります。詳しくは、依存症対策全国センター(※2)のホームページで検索してください。
※2:依存症対策全国センター<https://www.ncasa-japan.jp/>
全国の相談窓口・医療機関の検索<https://www.ncasa-japan.jp/you-do/treatment/treatment-map/>
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