白クマ
日医白クマ通信 No.1007
2008年9月19日(金)


第2回医療政策会議
桐野明委員が「信頼に支えられた医療の実現」をテーマに講演

第2回医療政策会議


 第2回医療政策会議(議長・田中滋慶大大学院教授)が、9月17日、日医会館で開催され、桐野明委員(国立国際医療センター総長)が、日本学術会議が6月に取りまとめた要望書「信頼に支えられた医療の実現―医療を崩壊させないために―」を中心に講演を行った。

 桐野委員は、同要望書では、(1)医療費抑制政策の転換、(2)病院医療の抜本的な改革、(3)専門医制度認証委員会の設置―の3項目を審議するため、政府に対して、省庁の枠を超えた、強力な「医療改革委員会(仮称)」の設置を強く要望していると説明。

 信頼に支えられた医療の実現のためには、医療が疲弊し崩壊しつつあるという現状を直視し、単に行政機関や医療関係者だけの問題ではなく、国民的な課題であるという認識が必要であるとし、国民、政府・行政、医療者の三者がそれぞれの立場で考えなくてはいけないと強調した。

 また、同委員は、医療費の抑制はすでに限界であり、資源を医療に投下しなければ崩壊すると主張。医療費を増やすことは国が滅びる要因であるというイメージは妥当ではないということを社会に訴えていかなければならないと述べた。

 医師数については、総数としては非常に不足しているが、増やしさえすれば根本的な解決になるのかと指摘。医師の業務量(診療周辺業務)の増加や大学の研修医の減少などを例に挙げて説明したうえで、根本の原因はわが国の医療の脆弱な基盤にあるのではないかと述べた。

 さらに、専門医制度について、医師のプロフェッショナル集団が自律的に専門医制度の数の制御を行うことで、厳格な専門医制度の基礎が形成でき、社会における医療の信頼感につながるとした。

 質疑応答では、医師の業務の量や範囲、専門医制度における認定や評価の方法などについて意見交換が行われたほか、「日本学術会議の要望は、医師以外の目線で書かれていて非常に参考になる」「なぜ医療費を増やさなくてはいけないのか、国民にきちんと説明するべき」「国民の望む医療にはどのくらいの費用がかかるのかを数字として示すべき」など、さまざまな意見が出された。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代)


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