白クマ
日医白クマ通信 No.1026
2008年10月16日(木)


定例記者会見
「社会保障国民会議最終報告とりまとめに向けて要望書を送付」
―中川俊男常任理事

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、10月15日の定例記者会見で唐澤人会長が14日付けで、社会保障国民会議サービス保障(医療・介護・福祉)分科会の大森彌座長宛に、今月中に行われる予定の最終報告の取りまとめに向けて、要望書を送ったことを報告し、内容を解説した。

 要望書は、(1)社会保障費の機械的抑制の撤回、(2)地域医療を守るため、医療費全体の水準の引き上げ、(3)患者さんを守るため、必要な医療が受けられる体制の維持―の3項目を柱とした内容になっている。

 また、今月開催を予定している分科会には、意見を別途提出する意向を示した。

 同常任理事は、今回の要望書を説明するにあたり、同分科会の資料「社会保障国民会議における検討に資するために行う医療・介護費用のシミュレーションの前提について」に対する見解を加えた。

 まず、「改革ケース」案はいずれも、平均在院日数の短縮化を前提としているが、日本よりも医療費が高く、医師数が多い先進諸国と比べて目標指標としていること、医療資源の強化が急性期病院に偏っていることを問題として指摘した。

 また、同資料に示された「医療・介護提供体制の現状と将来像」に関しては、どの機能に対しても、「選択と集中」が前提とされていることについて、「地域的背景を考慮し、地域医療を守ることを志向すべきであり、『選択と集中』を一律に課すべきではない」と述べた。つづいて、病院と診療所の機能分担においては、診療所の方向性の中に「主治医機能の強化」と記されていることに対して、「アクセス制限」による医療費抑制を意図しているのであれば、非常に問題であり説明を求める」との見解を示した。

 会見のおわりに、同常任理事は、医療提供体制の強化や医療従事者を増強する議論に対する考えとして、「医療費の増加とセットで議論されなければならない。明確な財源論や大胆な配分論の見直しが無いまま、議論を進めることは大変な問題が起こる」と指摘した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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