白クマ
日医白クマ通信 No.1029
2008年10月23日(木)


定例記者会見
厚労省「最近の医療費の動向(4〜5月号)」に対する見解
―中川常任理事

 中川俊男常任理事は、10月22日の記者会見で、厚生労働省が公表した「最近の医療費の動向(平成20年4〜5月号)」について、日医が行った「緊急レセプト調査」との結果を交えながら見解を示した。

 同常任理事は、厚労省調査で、本年4〜5月の医療費の前年同期比は、日数補正を行い1.44%増と示されたこと対して、「厚労省は『医療費は従来と同程度の水準(3%)で伸びている』と述べている。2008年度の診療報酬改定率は、0.82%減であったので、今回の結果は2.18%増以上となるはずであるが、1.44%増に留まっている」と指摘した。

 また、日医の調査結果が0.01%減となり、厚労省の数値より約1.5%下回ったことについては、歯科診療所、保険薬局を含まないことも一因であると述べた。

 次に厚労省調査では、医療機関種類別の医療費の前年同期比は、歯科診療所で2.24%増、保険薬局で5.33%増と大きく伸びている一方、医科病院は0.76%増、医科診療所は0.03%減であった。

 日医の調査では、医科病院は1.15%増、医科診療所は1.83%減と示されたことについては、外来管理加算などの影響が強かった診療所からの回答が多かったことも原因としてと考えられるとし、6月以降の動向に注意したいと述べた。

 厚労省調査の医科医療機関種類別での1施設当たり医療費の伸びでは、大学病院で4.52%増となったが、公的病院、法人病院では、1%台の伸びに止まり、個人病院3.75%減、診療所は0.15%減とマイナスであった。

 このことから、同常任理事は「大学病院に医療費が集中している懸念がある」と述べ、これも6月以降の動向を注意したいと述べた。

 また、厚労省調査の年齢区分別に見る一人当たり医療費は、入院の70歳未満で1.38%増であるほかは、すべてマイナスで、特に70歳以上は、入院0.23%減、入院外1.62%減と、共にマイナスであった。

 この結果に対して同常任理事は、「2006年度の医療制度改革では、一人当たり医療費の伸びが一般2.1%、高齢者3.2%と推計されたが、その後、医療費が厳しく抑制された結果、現在は高齢者の医療費の伸びはマイナスになっている」との見方を示した。

◆問い合わせ先: 日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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