白クマ
日医白クマ通信 No.1036
2008年11月6日(木)


定例記者会見
「社会保障国民会議最終報告を受けて日医の考えを示す」
―中川常任理事

中川常任理事


 中川俊男常任理事は、11月5日の定例記者会見で、11月4日に社会保障国民会議がとりまとめた最終報告に対する日医の見解を述べた。

 まず、同常任理事は、社会保障国民会議が、これまでの社会保障費抑制から『社会保障の機能強化』に転換したことは率直に評価したいと述べた。しかし、政府は社会保障費の自然増に対する年2,200億円の機械的抑制を撤回していないことから、「機械的抑制を撤回しないで、社会保障の機能強化と言っていることに非常に違和感がある」とし、日医として引き続き、最優先課題として撤回を主張していくとした。

 「医療・介護サービスのあるべき姿」については、きわめて短期間で中身の濃い議論が展開され、国民的議論の喚起に向けて、ひとつの形を示したという点では一定の意義があるとの見解を示した。しかし、十分な議論が尽くせたわけではなく、最終報告では、「現在の医療・介護とは格段に異なる質の高いサービスが効率的に提供できる」としているが、この中の「医療・介護費用シュミレーション」は、既に限界にある「平均在院日数」の大幅な短縮化、医療の集約化と機能分化、在宅医療の拡大を前提としており、地域や家族の事情によっては、「医療難民」や「介護難民」を生じさせるおそれがあるとの危惧を示した。

 さらに、国民の理解と合意を得ながら、「あるべき姿」を練り直す必要があり、日医としても『グランドデザイン2008』で、あらためて「あるべき姿」を提示していくとした。また、今後、工程表の策定が進むかと思われるが、国、特に財政当局にとって都合の良い項目が優先されないよう、厳しく監視したいと述べた。

 社会保障番号制については、住民基本台帳とネットワーク化され、国家が個人情報を管理する“国民総背番号制”の実施につながり、医療分野では、財政的な目的で医療の内容に制限を加える“管理医療”を導入しやすくなることから、日医として反対してきたことを述べ、さらにはセキュリティおよび個人情報の保護が最大の課題であるとした。そして、当会議として十分に議論されたわけではなく、最終報告に示すような「導入検討を積極的に進めていく」段階にはないと述べ、拙速な議論は避けるべきであるとの考えを示した。

 さらに、財源確保に関して、公費負担を消費税率に換算した数字が示されているが、消費税引き上げのみを議論するのではなく、特別会計の透明性を高め、無駄、非効率をなくしていくことも大事であるとし、日医は、医療財源確保策として、特別会計等による新たな財源確保や、保険料の事業主負担の増加、保険料率の見直しをすべきと主張していると説明し、最後に「どのような政権が誕生しても、日医の医療政策はぶれることはない」という強い意向を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

◇定例記者会見資料はこちらから
 ⇒ http://www.med.or.jp/teireikaiken/


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.