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定例記者会見 「レセプトオンライン請求の完全義務化に関する政府答弁について」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、11月12日の定例記者会見で、レセプトオンライン請求の完全義務化に関する政府答弁書についての日医の見解を公表した。答弁書は、民主党辻泰弘参議院議員が提出した質問主意書に対して、11月11日に閣議決定されたものである。
日本医師会は、完全義務化には終始反対の姿勢を貫いており、10月22日には、三師会連名で「レセプトオンライン請求の完全義務化撤廃を求める共同声明」を舛添厚生労働大臣や関係国会議員に手交している。
中川常任理事は、今回示された答弁書は、三師会の声明等を受けて新たに議論したわけではなく、これまでの流れで作成されたものであることは承知しているが、強い憤りを禁じ得ないとして、改めて日医の主張を述べた。
答弁書では、IT戦略本部医療評価委員会が平成18・19年度に実施したアンケート結果を元に、「レセプトオンライン化には業務負荷軽減効果がある」としている。しかし、同常任理事は、「このアンケートは13.3%と極めて低い回収率であり、オンライン請求の光の部分だけに注目して結果をまとめたものである」と指摘。レセプトコンピュータ未使用の診療所に、その理由を尋ねた設問では、実に50%が「メリットを感じない」、「コスト負担ができない」と回答しているにも関わらず、こうした内容は無視され、結論ありきで進められていることを問題視した。
さらに答弁書では、(1)十分な準備期間を設けてきたこと、(2)小規模な医療機関には一定の猶予期間を設けること、(3)事務代行者を介しての請求を認めていること等から、全ての医療機関がオンライン請求の義務化に対応することは十分可能との見解が示されている。 これに対し、同常任理事は「机上の空論」であると断言、環境整備が必要であると強く交渉してきたと述べた。
また、政府は「全ての保険医療機関がオンライン請求することによって、初めて医療保険事務全体の効率化を図ることが可能」としているが、レセプトを手書きしている12,849医療機関のレセプト件数は、医科レセプトの2.9%に過ぎず、日医実施のアンケートで義務化により廃業すると答えた8.6%ではさらに少ない件数となる。同常任理事は、こうした例外すらも認めない政府の進め方には大きな問題があるとの認識を示し、様々な問題を見解の相違として棚上げし、強引に義務化を進めれば、日本の医療は大混乱に陥ると警鐘を鳴らした。
最後に同常任理事は、「この答弁が最後の答えではないと思う。麻生政権において、社会保障国民会議が小泉改革の抑制一辺倒から大転換したように、オンライン請求についても、地域医療を守る立場から政策の大転換を図ることを強く望む」と訴え、今後も引き続き、政府との交渉を全力で進めていく決意を改めて表明した。
なお、記者からの民主党の政策との関係を問う質問に対しては、中川常任理事は、「民主党の大勢はオンライン請求推進派だと思う。今回の見解は決して民主党を支持するという意味ではない」ことを強調した。
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