白クマ
日医白クマ通信 No.1080
2009年1月9日(金)


定例記者会見
「介護報酬改定に対する日医の見解」
―三上常任理事

三上常任理事


 三上裕司常任理事は、1月7日の定例記者会見で、平成20年12月26日の第63回社会保障審議会介護給付費分科会が了承した、平成21年度介護報酬改定について、日医の見解を述べた。

 同常任理事は、今回の介護報酬改定率が3.0%引き上げ(うち在宅分+1.7%、施設分+1.3%)となったことに対して、「プラス改定については一定の評価をしているが、過去2回の介護報酬がマイナス改定であったことから、3.0%という数字は、過去のマイナス分も取り戻せない不十分な改定率であると言わざるを得ない」と述べた。特に、過去2回の改定で、施設分のマイナス影響を勘案して、不十分であることを改めて強調した。

 つづいて、今回の改定の大きな柱となった、「介護従事者の人材確保・処遇改善」については、「夜勤勤務や人員加配、介護福祉士等専門職種の配置や勤務年数など加算等で評価されたが、本会が指摘していた、全体的に底上げするための基本サービス費を引き上げについては、一部を除いてほとんど引き上げられない改定となった」として、その評価方法に疑問を呈した。

 さらに、地域区分の報酬単価の上乗せ率についても、請求事業所の約60〜70%を占める「その他」地域については見直しが行われず、その結果、サービスや人材の偏在に通じる事から、地域間の格差がより一層広がることが懸念されるとした。

 サービスごとの見直しに関しては、根拠とした平成20年度「介護事業経営実態調査」について、定点調査でなく、抽出率が低いことから、精度が疑問視されていた中で報酬改定されたことに遺憾の意を表明した。

 第63回介護給付費分科会で提案された、介護事業経営実態調査等について検討を行うことを目的とした、「調査組織委員会(仮称)」の設置については、「介護事業経営の現場の実態をより正確に反映した調査となるよう検討が行われることを期待する」と述べ、次期介護報酬改定が従事者等の処遇改善に反映されているかを検証する事について、「過去2回のマイナス改定における従事者等への処遇についても検証した上で、プラスとなった次期改定における処遇について検証を行うべき」との考えを示した。

 また、同常任理事は、今後の介護給付費分科会の動向に対して、「要介護認定」「『介護サービス情報の公表』制度」「補足給付」について、早急に検討を行う場を設けるべきと再三指摘しており、「特に『要介護認定』については、その実施が4月から行われることから、特に急いで検討する必要がある」と、担当部局に申し入れる考えを述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会介護保険課 TEL:03-3946-2121(代)

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