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記者会見 『グランドデザイン2009―国民の幸せを支える医療であるために―』を発表 ―中川常任理事 |
今回の『グランドデザイン2009』は、2007年3月の『グランドデザイン2007―国民が安心できる最善の医療を目指して― 総論』公表後の状況の変化等を踏まえて、必要と思われる部分を新たに書き加えたもので、「第1部 安心と幸せのための医療」「第2部 国民を守る医療制度とその財源」の構成となっている。 中川常任理事は、冒頭、この『グランドデザイン2009』は、2月10日の常任理事会で承認を得て、17日に各都道府県医師会に送信したことを明らかにし、つづいて、その要点を詳細に説明した。 それによると、第1部‐(2)「医師不足対策と医療従事者の確保」では、2008年4月に行ったアンケート調査の結果、新医師臨床研修制度の導入を主因として、約6割の教室(医局)が医師の派遣を中止・休止したことが明らかとなった。また、日本の医師数の増加に向けては、a.財源の確保 b.医学部教育から臨床研修制度までの一貫した制度の確立 c.医師養成数の継続的な見直し―が前提条件であるとしている。新医師臨床研修制度の改革の方向性としては、a.医師偏在化・医師不足問題の緩和、あるいは解消 b.医学部教育から切れ目のない初期研修制度の確立 c.十分な臨床対応能力のある医師の育成という視点に立った初期研修の位置づけ―の3つを挙げ、緊急的な医師確保対策として、以下のような臨床研修制度の改革案を提示した。 ■新医師臨床研修制度改革案■
改革案では、都道府県単位で設置される「ネットワーク」を研修単位とし、研修医は初期研修の1年間、出身大学が所在する都道府県の「ネットワーク」に所属し、都道府県内で施設間をローテーションして、地域医療の全体像を経験する。 同常任理事は、新医師臨床研修制度が医師不足・遍在の原因であることは、動かしがたい事実であり放置できない。医学部入学からの7年間で、地域で医師を育てるのは、抜本的な見直しという意味では評価されるのではないかとの考えを示した。 第2部‐(2)「医療制度のあり方について」では、『グランドデザイン2007』で示した「後期高齢者医療制度(案)」を2008年4月に施行された国の制度の問題点も踏まえて再検討し、あらためて「高齢者のための医療制度」として提案している。医療費の9割は公費(主として国)負担とし、“保険料負担を限りなく小さくすることも視野に入れ”、日医の現時点でのスタンスを「保険料と患者一部負担はあわせて1割とし、患者一部負担は所得によらず一律とする」としている。 さらに、中川常任理事は、『グランドデザイン2007―各論』で提示した「終末期医療のガイドライン」について、「リニューアルして、臨床現場で直ちに使えるようなものにした」と説明した。 第2部‐(3)「公的医療保険を支える財源」では、a.消費税などの新たな財源の検討 b.特別会計などの支出の見直しの継続 c.公的医療保険の保険料の見直し―の3つを同時平行で進め、財源確保することを提案。消費税の議論を行う際には、社会保障として年金、高齢者医療、介護に対する国庫負担のあり方を同じ土俵にあげなければならないとして、そのためにも、高齢者医療については、公費9割にし、消費税の受け皿にすることを今後も主張していくとしている。 同常任理事は、「社会保障財源は、消費税を上げれば大丈夫だという議論が横行しているが、すでに基礎年金国庫負担だけで約2.5兆円足りない状況にある。したがって、独立行政法人を含めた、特別会計などの支出の見直し、保険料率の公平化、保険料上限の見直しなども同時にやらなければ、安定した社会保障財源は得られない」と強調した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代) ◇定例記者会見資料はこちらから
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