白クマ
日医白クマ通信 No.1102
2009年2月26日(木)


定例記者会見
医師臨床研修制度のあり方等に関する検討会「医師臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ(案)」に対する日医の見解
―内田常任理事

内田常任理事


 内田健夫常任理事は、2月25日の定例記者会見で、医師臨床研修制度のあり方等に関する検討会が18日に出した「医師臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ(案)」に対する日医の見解を公表した。

 先に発表された日医の初期臨床研修制度改革案は、深刻化する地域の医師不足問題への緊急的な医師確保対策として、『グランドデザイン2009』で提案されたもの。制度改革の方向性として、a.医師偏在化・医師不足問題の緩和、あるいは解消 b.医学部教育から切れ目のない初期研修制度の確立 c.十分な臨床対応能力のある医師の育成という視点に立った初期研修の位置づけ―の3つを挙げ、「医師は地域で育てる」との発想に基づいている。

 同常任理事は、検討会のとりまとめ案と日医の改革案を表の形で比較しつつ詳しく説明。日医の改革案は、「都道府県地域医療研修ネットワーク(都道府県医師会、大学、臨床研修病院、行政、住民代表で構成)」が初期研修医の希望を踏まえて研修病院を決定するなど、地域特性を反映するシステムだとの考えを示した。

 そのうえで、検討会のとりまとめ案について、(1)卒前・卒後の一貫した医師養成を目指して、臨床研修の質の向上や医学部教育の更なる充実を図る、(2)医学生の医行為の取り扱いや医師国家試験の内容を見直す―ことなどが明記されており、日医の改革案の具体化も期待されると述べ、これらの点には評価を示した。ただ、日医の認識とおおむね一致はしているとしたものの、「論点」としては、(1)医師不足の顕在化に対する対応策がない、(2)現行制度導入後の臨床研修病院に対する状況認識がずれている部分もある、(3)都道府県別の募集定員上限の設定はあるが、地域による調整機能が働くのかが疑問―など6項目を指摘した。

 最後に、「現状の医師の偏在と不足による地域医療の崩壊は未曾有(みぞう)の緊急事態であり、すべての医師が研修医と一体となってこの問題に取り組む必要がある」として、日医の改革案は、地域医療の崩壊を食い止めなければならないという強い危機感から生まれたものであることを強調。検討会のとりまとめ案は十分とは言えないとして、実効性のある対策と医師の資質の向上を中心に、日医の改革案の実現に向けて、さらに検討を続け、文部科学省が設置した「医学教育カリキュラム検討会」や、政府与党、都道府県など、関係各方面へも働き掛けていきたいとの意向を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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