白クマ
日医白クマ通信 No.1124
2009年4月3日(金)


定例記者会見
「病院・介護保険施設における地球温暖化対策プロジェクト委員会報告書」
―今村聡常任理事

今村聡常任理事


 今村聡常任理事は、4月1日の定例記者会見で、病院・介護保険施設における地球温暖化対策プロジェクト委員会(内山洋司委員長)から提出された報告書を公表した。

 同常任理事は、I.病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップについて、II.介護保険施設における地球温暖化対策の実態について、III.参考資料(アンケート調査結果)から構成されている報告書の要旨について、次のように説明した。

 Iでは、2008年8月に策定した「病院における地球温暖化対策自主行動計画」のフォローアップ調査の結果が報告されている。調査対象3,389病院に対し、回答は1,223病院で、これは全病院の16.2%に相当する。結果から、2007年度の二酸化炭素(CO2)の排出原単位の実績は4.1%減と目標の年率1%減を大きく上回る改善を見せた。この大きな要因の一つとして、「化石燃料から電力・ガスへのエネルギー転換」が図られていることが考えられるとした。

 さらに、病院の光熱費用等の削減事例をできるだけ多く提示し、病院経営に役立つ情報も提供している。また、各省庁の補助制度の一覧や各種補助金制度と組み合わせの例も紹介している。

 IIでは、介護保険施設における地球温暖化対策の実態について、調査結果から、「重油・灯油の使用割合の高止まり」「エネルギー転換工事の停滞」を大きな理由として、2006〜2007年にかけて「CO2排出量」が8.3%、「CO2排出原単位」が3.7%と増加していることを報告。介護保健施設は、介護報酬が非常に厳しいため、省エネ対策まで十分に投資ができず、特に大規模改修ができる施設は少ない。対策推進のためには、介護報酬や税制及び補助制度等の検討が必要であるとして、現状では自主行動計画は策定せず、引き続き実態把握に努めていくとした。

 同常任理事は、要旨の他、「従来、医療機関の温暖化対策が非常に遅れているとされてきた理由は、延べ床面積3万m2以上の大規模施設の実態しか把握されていなかったためであり、現在は大規模施設でも対策が進んできていること」「CO2と同様に地球温暖化に影響を与える医療用亜酸化窒素(N2O)の排出量も急激に減ってきていること」等、報告書のポイントについても紹介した。

 最後に同常任理事は、今後もフォローアップを継続していくと述べ、将来的には病院だけでなく、介護施設や診療所に拡大することも視野に入れ、引き続き実態調査や情報発信を実施していきたいという意向を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)

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