白クマ
日医白クマ通信 No.1125
2009年4月9日(木)


定例記者会見
厚生労働省「最近の医療費の動向 平成20年11月号」に対する見解
―中川常任理事

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 中川俊男常任理事は、4月8日の定例記者会見で、厚生労働省が発表した、「最近の医療費の動向 平成20年11月号」について、日医の見解を示した。

 同常任理事は、まず、種類別医療費について、2008年4〜11月の医療費の前年同期比は、全体では1.8%増であるが、調剤が5.4%増、歯科が2.8%増と伸びている一方、医科は1.1%増にとどまっており、医科入院外はプラスマイナス0.0%であったと説明。特に、調剤は、4〜10月で5.1%増だったものが、さらに0.3ポイントも伸びており注目されるとした。さらに、種類別医療費の毎月の変化を見ると、前年同月比は月を追うに連れて拡大。2008年11月には、歯科は8月につづいて5%台の増を示し、調剤は7.3%増と、2008年度最高の伸びであった。

 同常任理事は、1.8%増という医療費の伸びは、調剤医療費の影響が大きいとして、その増加要因に着目し、「処方せん枚数(数量)×処方せん1枚当たり医療費(単価)」で決まる調剤医療費の年度ごとの推移を示した。2008年4〜11月の調剤医療費の前年同期比は、処方せん枚数が0.1%減に対し、処方せん1枚当たり医療費は2.3%増であったこと、過去の診療報酬改定がなかった年では、処方せん1枚当たり医療費は6%台という高い伸び率を示していることを指摘。そのうえで、2008年度(4〜9月、電算処理分)の処方せん1枚当たり医療費は、技術料26%、薬剤料73%、単価は7,467円で、前年比145円増(薬剤料94円増、技術料50円増)であったと分析。薬価はマイナス改定であったが、単価上昇の6割以上が、薬剤料単価アップによるもので、診療報酬改定のなかった2007年度の単価の前年比399円増(技術料22円増、薬剤料376円増)を見ても、ほとんどが薬剤料単価アップによるものであったとした。

 これらから、同常任理事は、「医療費の伸びは、薬剤料が要因のひとつではないか」として、今後さらに分析を深めていきたいと述べた。

 そのほか、病院の医療機関種類別医療費は、大学病院の前年同期比が4〜10月3.9%増から4〜11月は4.4%増に、1施設当たりでも4〜10月3.3%増から4〜11月は3.6%増に拡大しており、大学病院への医療費の集中がうかがえる。1日当たり医療費の毎月の変化でも大学病院が右肩上がりで推移しているのに比べ、法人病院では、8月以降頭打ちである。また、診療所(入院外)医療費は、その他を除いて内科が最も低かった4〜10月と同様の傾向であったとし、外来管理加算の影響も少なくないと推察している。

 最後に、同常任理事は、医科入院外受診延べ日数や一人当たり医療費の伸びの推移などから、高齢者の受診抑制と、結果として一人当たり医療費の伸びが低いことが非常に心配される」と、重ねて強調した。

◆問い合わせ先: 日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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