白クマ
日医白クマ通信 No.1147
2009年6月11日(木)


定例記者会見
経済財政諮問会議「基本方針2009(素案)」に対する日医の見解
―中川常任理事

中川常任理事


 中川俊男常任理事は、6月10日の定例記者会見で、9日に経済財政諮問会議が取りまとめた、「基本方針2009(素案)」について、日医の見解を示した。

 同常任理事は、まず、社会保障費は国の一般会計予算ベースで、自然増に対し年2,200億円の機械的抑制を強いられているが、これは「基本方針2006」で、「2011年度には国・地方の基礎的財政収支を確実に黒字化する」目標が掲げられていたことに起因すると説明。そのうえで、今回の「基本方針2009(素案)」では、「今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランスの黒字化の確実な達成を目指す」とあり、財政健全化の目標時期が先送りされたこと、また、「年金・医療・介護など社会保障制度の『ほころび』を早急に修復する」必要があるとも認識されていることを指摘した。

 しかし、社会保障費の削減については、これを撤回する記述が一切なく、それどころか、「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続」、「改革努力を継続する概算要求基準を設定」といった表現があるとして、「医療崩壊という危機的状況を、いまだ理解されていないことを遺憾に思う」と述べ、国家の責務として、社会保障費削減を明確に撤回し、十分な財源を確保すべきとの考えを示した。

 次に、会議後の記者会見での「社会保障費は毎年1兆円ぐらい増えており、それに対して2,200億円削減している。社会保障を何か削り取っているわけではない」という趣旨の与謝野馨財務・経済財政政策担当大臣の発言に触れ、「あるべき自然増から見ると、実質的には、2002〜2009年度累計削減額は7.9兆円に上り、うち65%は医療部分である。現場にとっては、削り取られているという実感がある」と反論。「ぜひ、原案、最終案に向けて2,200億円の撤回が明確になるよう修正してもらいたい」と強く求めた。

 また、日医は、すでに緊急提言等で、「医療・介護には、大きな雇用誘発力がある。医療・介護に財源を投入することで雇用創出、経済成長を期待できる」との見解を示していると説明。「基本方針2009(素案)」にも「地域医療の再生」とあるが、特定の医療機関への資源の投入だけでは、崩壊しつつある地域医療は救われないとし、地域医療全体の底上げのため、十分な財源が必要だと強調した。

 最後に、同常任理事は、医療崩壊への理解が、政府を含めると十分ではないのではないかとの考えを示し、2,200億円撤回が明確になるよう、継続的に努力を続けていきたいとの意向を重ねて強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(246KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.