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定例記者会見 経済財政諮問会議「基本方針2009(原案)」に対する日本医師会の見解 ―中川常任理事 |
まず同常任理事は、「今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成」と財政健全化目標が先送りされたにもかかわらず、「『基本方針2006』等を踏まえ、」と社会保障費年2,200億円の削減が継続されたことを問題とし、「基本方針2006」が今日の医療崩壊をもたらしたことをまったく反省しておらず、「経済社会状況への必要な対応等を行う」と追記してはいるものの、断じて容認できないとした。 さらに、国民の安心を守るためには、地域医療全体の底上げを図らなければならないと主張。社会保障制度の「ほころび」を認識しているのであればこそ、社会保障費年2,200億円削減を明確に撤回すべきであると強調した。 そのうえで同常任理事は、各論に対する日医の見解を述べた。 高齢者医療制度については、高齢者が所得格差の不安なく過ごせるよう、国は「保障」の理念の下で支えるべきと主張。改めて日医の「高齢者のための医療制度」を提案した。 高額療養費制度等については、「基本方針2009(素案)」にはなかった「患者負担の現状や医療保険財政の状況等を踏まえつつ、そのあり方を検討する」との記述が唐突に追加されたことに触れ、財政審建議の記述と合わせて、保険給付範囲の縮小、私的負担の拡大への懸念を示した。 社会保障番号・カード(仮称)については、「2011年度中を目途に導入」とされているが、国民の利便性よりも、社会保障個人勘定の設定につながる可能性があると指摘。支払い能力に応じた給付制限や管理医療にもつながる懸念があるとして、国民的合意を得るまで、慎重な対応をとることを求めた。 診療報酬の配分の見直しについては、特定の医療機関への資源の集中投入では、身近な地域で起きている病院の閉鎖、入院の受け入れ休止、診療科の休止を食い止めることはできないとして、「診療報酬改定における『選択と集中』の考え方」の方針の撤回を求めた。 レセプトオンライン化については、「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」で「自らオンライン請求することが当面困難な医療機関等に対して配慮する」とされていることに言及。原則義務化を押し通すのではなく、国民の医療を受ける環境を奪わないことに配慮し、画一的な完全義務化を見直すべきであるとの見解を示した。 急性期医療については、急性期から慢性期、在宅医療まで、切れ目のない医療の提供こそが国民の安心に応えることであり、地域の医療機関の機能分化と連携が必要であるとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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