|
定例記者会見 「経済財政改革の基本方針2009〜安心・活力・責任〜」の閣議決定を受けて ―竹嶋副会長、中川常任理事 |
これを受けて、6月24日に記者会見した竹嶋康弘副会長は、「議論の過程で、社会保障費削減の撤回に向け、厚生労働関係の国会議員の先生方を中心に多大なるご尽力をいただいた。その結果、『社会保障の必要な修復をする』方針が追加された」として、まず感謝の意を表した。 その一方で、「基本方針2009」に、「『基本方針2006』等を踏まえ」という表現が残っていることを不満とした。そして、一部では、「社会保障費抑制を撤回」とも報道されているが、そもそも社会保障にほころびをもたらし、地域医療を崩壊させて国民を不安に落とし入れた「基本方針2006」が否定されない限り、完全な撤回とは言えないとして、政府が「基本方針2006」を反省していないことに大きく失望するとともに、政府の危機感の欠如を指摘せざるを得ないと述べた。 さらに、「基本方針2009」には、「昨年度とは異なる概算要求基準を設定する」とあり、これを受けて概算要求基準(シーリング)では、2,200億円という明確な数字は示されず、自然増については容認されるかもしれないとしながらも、「無駄の排除など歳出改革を継続しつつ」と併記されていることに触れ、医療崩壊を修復するために必要な財源は、来年度予算でも財政中立により抑制されるのではないかとの危惧を示した。そして、たとえば、「基本方針2009」別紙1にも「医療の効率化を進める」とあり、必要な医療が無駄として排除される懸念があるとした。また、同じ別紙1に「『選択と集中』の考え方に基づき、診療報酬の配分の見直しを行う」とあることや、財政制度等審議会の「平成22年度予算編成の基本的考え方について」(6月3日)も、診療報酬が診療所に偏っている現状を見直し、病院を手厚くする必要があると述べていることを取り上げ、こうした財政中立の下での配分は、断じて容認できないと主張した。 また、来月早々には、概算要求基準が閣議了解されることにも言及し、日本医師会は、地域医療を修復するための財源が確保されるよう要求し、年末の予算編成まで厳しく追求していくと述べた。 最後に、同副会長は、「医療再生、それは、国民が身近で安心して医療を受けることができる社会を保障することである。そのためには、対症療法的な財源手当ではまったく不足である。日本医師会は、今後も、『基本方針2006』、すなわち社会保障費の削減について明確な撤回を求めていく」と強調した。そして、「地域医療全体の底上げを図り、国民の安心と安全を守るため、強力に行動していく」との固い決意を示した。 続いて、中川俊男常任理事は、現時点で、想定される財務省のシナリオとして、以下の4点を挙げた。
また、与謝野馨財務・金融・経済財政相が、「2011年までの1.1兆円削減は変わらない」と明言したことを取り上げ、来年度予算では2,200億円削減しないとしても、再来年はどうなるのかは全くわからず、決して楽観は許されないとの強い警戒感を示した。そのうえで、「地域医療再生のためには、全体的な底上げが必要」であることを改めて強調した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |