白クマ
日医白クマ通信 No.1160
2009年7月30日(木)


定例記者会見
「アメリカ医師会年次総会におけるオバマ大統領の演説に対する日医の見解」
―石井常任理事

石井常任理事


 石井正三常任理事は、7月29日の定例記者会見で、6月15日にシカゴで開催されたアメリカ医師会(AMA)年次総会におけるオバマ大統領による演説に対する日医の見解を公表した。

 まず同常任理事は、50分にも渡る医療改革についての演説の日本語翻訳版を示し、骨子として以下の5点を挙げた。


  • 米国の医療改革をアメリカの国家政策のための最重要課題のひとつとして実行してゆくにあたり、AMAの医師の協力が不可欠です。

  • アメリカの医療が行き詰まった大きな要因のひとつとして、ビジネス導入による医療費の高騰がありました。

  • 現在の米国の経済不況を招いた原因のひとつがGMの経営不振などに見られる医療費企業負担の増大であり、今後はIT技術の医療分野への活用や予防医学の推進を強化するなどして、負担を抑制する必要があります。

  • 現状で満足しうるものを残しながら、今後は、4600万人という無保険者に対しては選択肢のある公的保険の提供によりこれを救済します。これにより、医療機関の収入は増大し、税金投入が減少する効果も期待できます。

  • 医療改革の推進により経済によい影響が与えられれば、それが将来、米国の経済の活性化につながり、さらに医療の向上へと波及するでしょう。

 総会に出席した同常任理事は、「いろいろな危機的状況解決の道筋を示し、 一緒に考えて、アメリカの医療を良くしていきたい」というオバマ大統領の強 い決意に対して、AMAの医師たちは非常に好意的であったと語った。

 また、アメリカの医療制度の特定のポイントや事象だけを参照・引用するこ とにより、日本国内の議論が偏ってしまうことがままあったと指摘。医療制度 全体に言及している大統領の今回の演説が、今後アメリカの医療を引用する際 のベースになることを期待していると結んだ。

◆問い合わせ先:日本医師会国際課 TEL:03-3946-2121(代)
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