白クマ
日医白クマ通信 No.1162
2009年7月30日(木)


定例記者会見
「2008年度の医療費に対する日医の考えを示す」
―中川常任理事

中川常任理事


 中川俊男常任理事は、7月29日の定例記者会見で、7月17日に厚生労働省が公表した2008年度の医療費について、日医の分析結果と見解を示した。

 同常任理事は、まず、厚労省が、『2008年度医療費の伸び率は、概ね従来と同程度の水準(3%台)である』としていることについて、「稼働日数補正前のデータで診療報酬改定の影響を除けば、2008年度の医療費の対前年度比は+2.67%と2%台である」と強調したうえで、「これまで厚労省は、稼働日数補正前のデータをもとに伸び率を議論してきたが、医療費の伸び率『3%』という主張を維持するため、今回わざわざ過去に遡ってまで、稼働日数補正後の医療費を持ち出したのではないか」と主張した。

 医療費の推移については、2008年度の概算医療費は34.1兆円(対前年度比+1.9%)であるが、2007年度には診療報酬改定はなく、対前年度比が+3.1%であることから、2008年度の医療費も診療報酬改定がなければ3.1%増加するはずであるのに、実際には医療費は+1.9%で対前年度比▲1.2%になっていると指摘。同常任理事は、「診療報酬の改定率▲0.82%以上に医療費が抑制されている」として、医療現場に対する影響に懸念を示した。

 医療費の伸びについては、「その要因は、(1)診療報酬改定 (2)人口増減・高齢化 (3)その他に大別されるが、最近の傾向を見ると、高齢化は進展しているが、人口が減少して相殺されているため、人口増減・高齢化の影響が縮小しており、その傾向が続くと推察される」と分析。また、医療の高度化など((3)その他)は、ほぼ2%を切る水準になっていることから、「今後も、医療費全体の伸びは2%台で推移していくのではないか」との見解を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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