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定例記者会見 自民党の政権公約「政策BANK」に対する日医の見解 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、8月5日の定例記者会見で、自民党の政権公約「政策BANK」に対する日医の見解を明らかにした。
同常任理事は、まず、麻生太郎自民党総裁が公約発表記者会見で、「行き過ぎた市場原理主義から決別する」と発言されたことを率直に評価したいと述べた。そして、さらに社会保障費削減への明確な反省、社会保障費年2,200億円の完全な撤回にまで踏み込んで欲しいと要求した。また、来年度の診療報酬プラス改定が明記されたことや、財源のあり方に踏み込み消費税を含む税制抜本改革を掲げたことも合わせて評価するとしたが、財源の配分については、「国立および公的病院志向、大病院志向であるようにも見受けられる」として、地域の中小民間病院や診療所に対しても、十分な配慮を求めた。そのうえで、地域医療を再生するためには、すべての病院、診療所、また受け皿となる施設の全体的な底上げが必要である点をいっそう認識して欲しいとした。
つづいて、2011年度中を目途に導入したいとしている社会保障番号・カードについては、導入により支払い能力に応じた給付制限や管理医療につながることがないよう慎重な配慮を求めた。また、「社会保障制度改革国民会議(仮称)」の設置については、「従来のような役所主導、官僚主導の会議では困る」としたうえで、「理念を明確にし、国民の立場に立って、広く意見を求めるような会議体とするよう強く希望する」と述べた。
消費税を含む税制の抜本的改革に関しては、「新たな財源の提案については、日医の主張でもあり前向きに評価したい」としたうえで、国民の共通理解を得られるよう、負担と給付の方向性などを具体化し、わかりやすく示すよう求めた。
地域医療の再生は、補正予算によらず、2010年度予算における診療報酬の十分な引き上げをもって行うことを提言し、さらに、工程表に、2012年度の介護報酬アップだけではなく、2010年度、2012年度の診療報酬の引き上げを明記することを求めた。医師数増員に関しては、偏在の解消を進めるとともに、継続的な検討が必要であるとした。「レセプトオンライン請求の完全義務化」については、「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」に見直しが示されたが、「政策BANK」にも、見直しする旨の記載を要請した。
次に、高齢者医療制度等の見直しとして、公費負担の拡大に取り組む姿勢を示したことについては、「日医が主張してきたとおりであり、評価したい」と述べ、日医が、「一般医療を保険原理、高齢者医療を保障原理で運営し、高齢者医療費の9割を公費で負担する」ことを提案していることにも言及した。また、「外来の患者負担の月額上限を半減する」とのことについても高く評価するとし、さらに、日医が主張している「若年世代の負担割合の軽減」も求めたいとした。
介護サービスの改善と職員の処遇改善に関して、「平成24年度の介護報酬改定時において、介護保険料の上昇を抑制しつつ、介護報酬を引き上げる」と明記したことについては、「介護保険料の上昇を抑制するのであれば、公費か利用者負担を引き上げることになる。公費でまかなう場合、財源は消費税になるのか、その場合、消費税を充てる高齢者医療の国庫負担との整合性はどうなるのか、整理して示して欲しい」とした。また、療養病床については、「これまでの療養病床再編計画を総括した上で、医療難民、介護難民を生じさせないように、あらためて方針を示して欲しい」と要望した。
さらに、公益法人への委託等の廃止については、「一律廃止ではなく、業務内容の精査を行い、国民、地域住民にとって必要不可欠な事業については、継続すべきである」と主張した。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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