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大学病院の医療に関する懇談会(7月31日) 「平成22年度診療報酬改定・医学部定員について意見交換」 |
冒頭、あいさつに立った唐澤人会長は、「本年は、診療報酬改定の年である。さまざまな意見を聞き協力していきたいと思う。忌憚のないご意見を伺いたい」と述べた。次いで、全国医学部長病院長会議の小川彰会長は、「医師養成の定員を増とする政府の指針が示されている。政策の方向転換を図っているが、この改革は中途半端である。大学病院の地域医療支援機能を回復させるために、日医の協力を得ながら国に対して発言していかなければならないと考えている」と述べた。 当日は、(1)平成22年度診療報酬改定についての考え方、(2)地域医療再生基金、(3)平成22年度における医学部入学定員の増員、(4)卒後臨床研修制度─などについて、報告と意見交換が行われた。 (1)では、大学病院側から、現在、中医協・DPC評価分科会で検討されている、新たな「機能評価係数」に関して説明が行われ、大学病院などが関連する評価項目や、中医協での議論について要望があげられた。 また、財政制度等審議会の建議に対する提言として、1)低医療費、低教育費政策を見直し先進国並みのレベルに引き上げること 2)医学医療政策に規則的手法を導入しないこと─を求めたことが説明された。 藤原淳常任理事は、「大学病院は、医学教育・研究そして臨床と、日本の医療の根幹をなすものであり、きちんと手当てしないと今後の日本の医療が危うくなると考えており、その主旨を中医協でも申し上げている。大学病院や大病院はもちろん、中小の病院も考慮しながら中医協で議論していく」と述べた。 竹嶋康弘副会長は、「大学病院は、最先端医療と医師を育てるという役目がある。指導医も、後輩を指導しながら、自分の患者も診ている。我々は、国民の目線から見る必要があり、病院・診療所の枠に捕われず、日本の医療費が極端に低いことを明確に示し、医療全体の底上げを求めなくてはならない」と訴えた。 (2)では、内田健夫常任理事が、地域医療再生基金について説明を行い、地域医療再生計画の策定について、都道府県医師会との連携を大学病院側に提案した。(3)では、小川全国医学部長病院長会議会長が、平成22年度の医学部入学定員増員に関する制度について説明を行った。それぞれの期間が、地域医療再生基金は5年間、医学部入学定員は10年間とされていることから、前者の期間後に支援が打ち切られる可能性があることについて双方から、懸念が示された。 また、医師数増加の考え方に対して、中川俊男常任理事が、医療現場での、「医師確保のための実態調査」等を参考にして、医師偏在・医師不足問題の緩和あるいは解消をした上で、1.1〜1.2倍を妥当として、『グランドデザイン2009』にも記載したことを説明した。 (4)では、大学病院側から、新医師臨床研修制度の導入前後に関する調査が示され、新医師臨床研修制度の導入で、医学部卒業生のキャリアパスが固定化されたことにより、医学研究の道に進む者が激減したことが報告され、日本の医療レベルの低下に対する危惧が示された。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代) |
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