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大学病院の医療に関する懇談会(9月25日) 「医師養成数等について意見交換」 |
冒頭、全国医学部長病院長会議の小川彰会長は、総選挙の結果、政権が交代し、政策が大きく変わろうという状況だとしたうえで、「民主党を中心とした三党連立政権でも政策が十分固まっているわけではないようなので、医療・医育の現場から声を出して大きく日本の状況を変えていければと思う」と述べた。次いで、あいさつに立った唐澤人会長は、「大変難しい状況の中、ますます本懇談会の重要性が増してきているので、気を引き締めて問題点を明らかにしていきたい。新政府や厚生労働省の方向性が明確になってきてはいないが、我々の職責をきちんと果たしていきたい」と述べた。 当日は、(1)へき地医療について(日医)、(2)新政権の医療政策の検証と対応(日医)、(3)今後の医学教育・医学研究・医療政策に対する要望(全国医学部長病院長会議)、(4)「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」報告書について(日医)―の4つの議題に沿って意見交換が行われた。 (1)では、内田健夫常任理事が、厚労省「へき地保健医療対策検討会」資料を基に、へき地医療の実態について、交通網・救急搬送体制の整備や自治医大卒業生等へき地医療従事者の増加と定着率の上昇などにより、無医地区の数は減ってきていると説明。そのうえで、“キャリアパスの構築”“地域枠の更なる充実”“へき地医療拠点病院への支援”などを喫緊の課題として検討を重ねているとした。また、へき地勤務を義務付ける奨学金については、入学時だけでなく、高学年の学生も対象とすることを提案しているとした。 (2)では、「民主党政策集 INDEX2009」と「民主党医療政策(詳細版)」を基に医療政策の検証と対応を協議した。特に「医師養成数を1.5倍に増加」という項目に関して議論が集中。その中では、中川俊男常任理事が、1)財源の確保、2)医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立、3)医師養成数の継続的で頻回による見直し―を前提条件として、医師数は中長期的に 1.1〜1.2倍にすることが妥当としている日医の見解を説明。さらに、医師養成にかかるコスト、教官数を増やす必要性とそれに伴う地域医療の更なる崩壊の危惧、教育体制を含めた質の問題、将来の人口減少に合わせた医学部定員の増減の難しさを指摘する意見や、激変を避け、長期的展望をもった柔軟な対応を求める意見などが多く出された。 (3)では、“臨床研修制度の抜本的な見直しと卒前医学部教育と卒後教育を連携した新たな医師養成制度の創設”や“長期的視点から医師養成数の増減を含めた計画的・定期的な見直しをもって国際水準に見合った適正な医師養成を求める”など9つの要望項目からなる「今後の医学教育・医学研究・医療政策に対する要望」について、小川会長が説明した。議論では、地域・診療科の偏在問題の解消と医師の適正配置に関連して、海外の例などを参考に、臨床研修制度・専門医制度等の全体的な枠組みを、国民的コンセンサスを得て根本的に変えていく必要性があるのではないかとの意見が出された。 (4)では、今村聡常任理事が、「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」の概要と、病院・医師それぞれに向けた7カ条をリーフレットとして配布予定であることなどを説明し、病院でも衛生委員会を開催するなどの取り組みを行って欲しいとして協力を求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代) |
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