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定例記者会見 「中医協の議論に対する日医の見解示す」―中川常任理事 |
再診料については、診療所、病院、それぞれの機能について、まずはしっかりと議論すべきと主張。そのうえで、日医は、「基本的に、診療所は外来、病院は入院という大きな機能分担は維持していくべきであり、特に、政策的な財源が投入されている特定機能病院等は、その役割を全うすべきである」と述べるとともに、病院と診療所の中間的な役割を担う医療機関への配慮を求めた。 さらに、同常任理事は、再診料で何を評価すべきであるかを改めて整理し、適切に評価すべきと指摘。次回の改定においては、病院、診療所ともに再診料の引き上げが求められるが、病院の経営体力を強化し、病院勤務医に手厚くするため、病院の引き上げ幅はある程度多くすべきとの考えを示した。 中期的な基本診療料(外来)の見直しに向けては、技術料中心の診療報酬体系を確立し、医師の技術料や医療関係職種の人件費を適切に評価するためにも、「モノ」と「技術」の分離を行い、技術料の評価を引き上げることが求められると指摘。それと同時に、「モノ」の評価を行うことも必要だとした。 ドクターフィーについては、地域や診療科間の医師不足・偏在の解消、医師個人のモチベーション向上のため、能力に応じた一定の評価が必要であることには理解を示しつつも、医師の能力評価はこれまで本格的には行われておらず、その導入には困難を極めることが予想されると指摘。一刻を争う医療再生のなかでは、まず、診療報酬全体を引き上げ、病院が医師を十分に評価出来る経営体力を持てるようにすることを優先すべきとして、その導入に反対の意向を示した。 外来管理加算については、日医が本年1月に実施した「外来管理加算に関するアンケート調査」の結果や中医協診療報酬改定結果検証部会が行った調査結果を紹介したうえで、これらの調査からも、外来管理加算の時間要件は、医師にとっても、患者にとっても最善の医療の妨げになっていることは明らかだとして、その撤廃を強く求めた。 小児の入院医療については、「こども病院、小児入院医療管理料算定病院ともに依然として赤字である。小児の入院は季節的な変動が大きく、稼働率が安定しないことも一因である。また、2008年改定で新設された『小児入院医療管理料1』の算定病院は全国で35病院にとどまっている」と述べ、(1)小児医療提供体制を確保するため、政策的な財源の投入(補助金)などの強化、(2)季節的な変動にも対応出来るよう、小児入院医療管理料の算定要件の緩和―を要望するとした。 入院基本料については、「10対1」入院基本料が引き上げられたのにも関わらず、損益差額比率はマイナス7.4%と最も赤字幅が大きく、地域医療再生のためにも、「10対1」算定病院の健全化が必要であるとした。一方で、看護職員の確保のため、経営が苦しいなか従業員の給与を引き上げた病院は43.1%に上るとし、入院基本料の全体的な引き上げを求めた。 また、看護職員の夜勤については、月平均夜勤時間を72時間以下にすることと、看護師1人を含む看護職員2人以上の勤務(2人夜勤)が義務付けられていることから、深刻な看護師不足の状況を鑑みて、これらの要件緩和が必要であるとした。 病院勤務医の負担軽減については、2008年改定で「入院時医学管理加算」の要件が見直され、外来の縮小など勤務医の負担軽減のための取り組みを行っている病院が評価されることになったが、大病院や中核病院など算定出来る病院が限られていたことから、地域医療を支える中小病院も対象となるよう、算定要件を見直すべきであるとした。 さらに、同改定では「医師事務作業補助体制加算」が新設されたが、医師事務作業補助者に6カ月の研修が義務付けられるなどハードルが高いとして、施設基準の見直しが必要であるとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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