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定例記者会見 「最近の財務省主導の予算編成について日医の見解を示す」 ―中川常任理事 |
最初に同常任理事は、財務省が2010(平成22)年度予算編成で診療報酬を3%程度引き下げる査定方針を明らかにしていること、一方、厚生労働省政務三役が診療報酬本体の引き上げを求めていることを挙げ、「診療報酬の増額は新政権の公約であり、日本医師会は診療報酬の引き上げを強く求める」と日医の姿勢を明らかにした。 次いで、11月19日、財務省ホームページ「平成22年度予算編成上の主な個別論点」に掲載された「医療予算について」で用いられているデータは、「事業仕分け」に提出されたものとほぼ同じであり、日医が11月18日の定例記者会見で指摘した「事業仕分け」の問題点がそのまま当てはまると述べ、このうち、開業医と勤務医の給与比較は特に問題が大きいとして、改めて次のように指摘した。 開業医と病院勤務医の給与差について、院長(病院長)には経営責任があることを考慮すべきで、開業医と勤務医の対立構造に持ち込むのではなく、勤務医の給与水準の低さが問題であると指摘。公務員人件費がカットされてきた中での診療報酬引き上げには国民の同意が得られないとしている点については、公務員給与はそもそも高く、引き下げられてもなお、民間医療機関の給与の方が、公的病院に比べてかなり低いと説明した。 そのうえで同常任理事は、予算編成にむけての日医の見解として、次の3点を挙げた。 まず、民主党政権はマニフェストで「政治主導」を掲げたが、今般の予算編成、事業仕分け等は「財務省主導」にほかならないとして、財務省の一省主導を改めることへの期待を示した。 2点目として、財務省が、「客観的な情報・データをそろえ、患者、納税者、保険料負担者のすべてが納得できるような議論を行うことは、厚生労働省の責務である」と述べていることに注目。これまで日医は客観的データを示してきたにもかかわらず、財務当局はこれらをまったく顧みてこなかったばかりか、結論ありきでデータを不適切に活用しているとして、財務省の国民に対する恣意的な情報操作を厳に戒めた。 最後に、公立病院等に比べ、はるかに厳しいコスト削減を行って地域医療を支えている民間医療機関の事業税非課税措置が議論の俎上にのぼっていることを挙げ、もしそうなれば、民間医療機関の淘汰につながり、地域によっては医療崩壊がより深刻化すると懸念を表明。医療は病院と診療所の連携の下で切れ目なく提供されなければならず、すべてが健全化してこそ、安心の医療がもたらされるとして、診療報酬は病院、さらにそのうちの公的病院重視ではなく、全体的に引き上げるべきと改めて強く主張した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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