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定例記者会見 「診療報酬改定にむけて―行政刷新会議『事業仕分け』の問題点について―」を説明 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、12月2日の定例記者会見で、小冊子「診療報酬改定にむけて―行政刷新会議『事業仕分け』の問題点について―」を提示し、説明した。 同冊子は、1.行政刷新会議等の動向、2.財務省の資料および解釈の問題点、(1)医師数の変化―A)財務省作成資料についてB)精神科医師数増加の背景C)産婦人科医師数減少の背景D)病院勤務医は減少しているのか、(2)開業医の年収および所得について―A)診療報酬の使途B)経営リスクと給与C)個人開業医の所得の意味合いD)勤務医の給与水準、(3)開業医の実情―A)労働時間B)休日・時間外診療C)開業医のストレスD)再診料、3.まとめ―診療報酬にむけて―で構成されている。 「行政刷新会議等の動向」では、本年11月11〜27日に行われた行政刷新会議「事業仕分け」について、診療報酬が仕分けの対象である「事業」なのか、一切説明されておらず、財務省の提出資料はデータが不適切に使用されており、財務省主導で結論を誘導しようとしているかのように見えると批判。 そのうえで、財務省が「客観的な情報・データをそろえ、患者、納税者、保険料負担者のすべて納得できるような議論を行うことは、厚生労働省の責務である」と述べていることに言及。これまで日医が示してきた客観的データを全く顧みようともせず、今般、結論ありきでデータを不適切に使用しているなど、財務省への不信感を抱かざるを得ないとしている。 さらに、「財務省の資料および解釈の問題点」では、項目ごとに、その問題点を指摘し、厚生労働省や日医が行った調査結果を示しつつ、反論と日医の主張を説明している。 「まとめ」では、今般の事業仕分けは、「財務省主導」で進められてきたが、新政権は、公約で政治主導を掲げており、財務省の一省主導、独走を許すべきではないとしている。 また、財務省が、2010(平成22)年度予算編成で診療報酬を3%程度引き下げる査定方針を明らかにし、その抑制された財源の中で、配分の見直しを行おうとしているとの報道がある一方、厚労大臣は診療報酬本体の増額を実現したいと述べていることに触れ、財務省主導を改め、政治主導で、公約である診療報酬の増額を必ず実現するよう、新政権に強く求めている。 しかし、新政権が公約で重視している公的病院への財源の集中投入は認められないとし、その理由として、民間医療機関は、公立病院等に比べて、はるかに厳しいコスト削減を行い、地域医療を支えていることを挙げた。また、医療は急性期医療だけではないとして、急性期、慢性期、回復期、通院、在宅医療など、どれかひとつが綻びても、国民は行き場を失う。地域医療全体が健全化し、より連携を強めることができるよう、診療報酬の全体的な引き上げを求めると強調している。 さらに、経済・雇用環境に回復の兆しが見られず、国民が早期受診を控えている恐れがあるため、日医は、診療報酬の引き上げとともに、患者一部負担割合の引き下げも要望するとし、新政権にその実現により、日本の医療を再生させることを期待するとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) |
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