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定例記者会見 「入院基本料に対する日医の見解を説明」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は12月9日の定例記者会見で、中医協で現在議論が行われている「入院基本料」に対する日医の見解を説明し、「基本的なスタンスとしては、医療の質を評価するという視点から、より適切な評価を行うべきと考えている。具体的には医療機関経営が成り立つよう、入院基本料の全体的な引き上げを要望する」と述べた。 7対1入院基本料については、今後も看護の内容および質の評価の継続を求めるとともに、看護補助要員への適切な評価と看護補助加算を7対1、10対1にも適用することを要望。13対1・15対1入院基本料等に関しては、中医協・慢性期入院医療の包括評価分科会が実施した調査結果は、分析対象が少ないなど問題が多いことから、その結果を基にして、長期入院患者の評価を議論すべきでないと指摘。また、慢性期は包括評価という大きな流れが作られつつあるが、日医は必要な医療を制限し、医療から患者を締め出すおそれがある包括評価には原則反対であると述べた。 精神病等入院基本料に13対1を新設することについては、多くの総合病院精神科が算定することになると予想されるが、本来、総合病院精神科は、身体合併症患者の受け皿としての機能が求められていると指摘。本来の機能の強化を図るためにも、13対1を新設する場合には、合併症患者の受け入れが進むような要件の設定や精神科身体合併症管理加算の見直しを併せて検討することを求めたいとした。 亜急性期の入院医療の評価に関しては、亜急性期入院管理料が算定される病棟に転床された場合、一部負担が大幅に上昇するなど、患者の理解が得にくい診療報酬になっていることから、患者にとって分かりやすい内容となるよう、その改善を求めるとともに、算定可能な患者の要件を緩和すべきとした。 入院基本料を算定する病棟における看護師等の配置に関しては、まず入院基本料の病棟単位による届出について、現在でも運用上は傾斜配分が可能であることから、まずはその運用ルールを周知徹底すべきとして、看護職員確保がますます深刻になっているなかでの病棟単位での届出に反対する意向を示した。一方、夜勤従事者の取扱いに関しては、看護職員の確保、医療および看護の質の確保のためにも夜勤72時間ルールの緩和を求めた。 また、当日の会見で、同常任理事は、昨今、国公立大学附属病院などが独立行政法人化するなど、特定機能病院を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえ、改めて特定機能病院における入院基本料のあり方についても日医の考えを説明した。 同常任理事は、まず、特定機能病院の役割について、高度先端医療機能を担う役割があり、日医はその役割を尊重していると説明。特定機能病院がその役割を全うし、かつ一般の病院と看護職員の確保などで競合しないためには、特定機能病院と一般の病院を区分すべきとし、その具体的な方法として、その役割を評価した適切な包括的点数を設定すべきとの考えを示した。また、特定機能病院に対する運営費交付金等の政策支援については、高度先端医療の提供やその教育は、日本の医療の未来を切り拓く根幹であり、未来の医療は国家として支えるべきであるとして、一定の水準を維持することを求めた。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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