白クマ
日医白クマ通信 No.1221
2009年12月17日(木)


定例記者会見
「診療報酬改定にむけて日医の見解を説明」
―中川常任理事

 中川俊男常任理事は12月16日の定例記者会見で、9日に厚労省政務三役が発表した「平成22年度診療報酬改定について」(以下、基本方針)および当日報道等で明らかとなった「厚労省の診療報酬改定要求」に対する日医の見解を以下のように説明した。

 基本方針に対しては、「医療現場の努力により、効率的かつ質の高い医療を提供してきた」とあるが、医療現場の努力は限界を超えているとして、全体として「10年ぶりのネットプラス改定」は必須であるとした。

 また、民主党のマニフェストを進化させ、急性期の入院医療に加え、「急性期後の受け皿としての後方病床・在宅療養の機能を強化する」とされている点は評価しつつ、さらに外来医療への配慮を求めている。そして、医療は、急性期、回復期、慢性期、外来、在宅医療など、どれかひとつが綻びても崩壊するとし、勤務医も開業医もすべての医療従事者が疲弊していると改めて指摘し、厚労省と財務省との改定率の折衝が本格化している現在、日医は、診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げに向け、厚労省政務三役に対して改めて働き掛けをしていく所存であると述べた。

 つづいて、「厚労省の診療報酬改定要求」に対しては、厚労省は、2010年度診療報酬改定に当たり、医科本体を1.73%前後引き上げるよう財務省に要求することが明らかになったが、過去3回の改定率の積み重ねはマイナス2.28%(医科本体は、2002年マイナス1.30%、2006年マイナス1.36%、2008年プラス 0.38%)であり、今回の厚労省の要求は、この水準に多少は近く、ある程度の評価は出来るものの、なお不十分であると述べた。

 さらに、厚労省は、診療報酬全体では0.35%の引き上げを求めているが、過去4回の改定で累計7.7%引き下げられたと指摘。また、政権与党たる民主党が衆議院議員選挙前に発表した「政策集INDEX2009」に掲げた、総医療費対GDP比をOECD加盟国平均まで引き上げるためには、医療費を約10%増加させる必要があるとして、今回のプラス0.35%は、過去の経緯や民主党の到達目標からみれば、全く不足していると言わざるを得ないとし、そのうえで、地域医療をたて直し、疲弊している医療現場を元気づけるためには、実感出来る形の引き上げが必要だとして、厚労省に対し、改定率のさらなる上積みへの期待感を示した。

 また、厚労省が、診療報酬の大幅な引き上げが患者負担の増加や保険料の上昇につながることに配慮したと報じられたことに対しては、日医は診療報酬の引き上げと同時に、患者負担の引き下げを求め、そのための財源は国が負担すべきとの考えを示しているとした。さらに、財務省が主張する診療報酬の配分の見直しに対しては、医療は生命の基盤であり、平時の国家安全保障といえるとして、国家予算全体の見直しを着実に実行し、政策実現のための財源確保に努めるべきだとした。

 最後に同常任理事は、新政権は、公約実現のための財源を「財務省主導」で仕切られることのないよう、厚労大臣をはじめ政務三役には、政治主導の下、責任ある予算編成を行うよう切に要望するとした。

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◇関連資料はこちら⇒がん対策等についてPDF(44KB)/後発医薬品の使用促進についてPDF(44KB)


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