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定例記者会見 「診療報酬改定にむけての日本医師会の見解」 ―中川常任理事 |
同常任理事は、まず、がん対策について、最重要課題と認識しているが、財源に制限があることも事実とし、診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げが実現した場合には、積極的に取り組むべきと述べ、そうでない場合には、重要度、優先度についても議論しておくべきであると指摘した。 (1)「地域連携」については、がん拠点病院の負担軽減のため、連携する診療所を評価し、これを拡充させることには賛成とした。また、がん拠点病院以外で、がん対策に取り組む病院を評価することを要望。さらに、がん拠点病院は、地域の医療機関に対する研修や情報提供にも重きを置くべきであり、それらを重点的に評価すべきとした。 (2)「放射線管理体制」に関しては、放射線同位元素(RI)を用いた放射線治療の症例数の増加に反して、施設数が減少しており、治療待機患者の約5割は3か月以上の待機と報告されているとして、RI への評価に賛成と述べた。 (3)「外来化学療法を提供する体制」については、チーム医療全体としての取り組みを評価すべきとした。 (4)「緩和ケアにおける丁寧な説明や指導」については、評価には賛成であるが、時間で測られかねない「丁寧な説明」ではなく、「適切な説明」に変更すべきとの考えを示した。 (5)「周術期等における療養指導の取り組み」についても、評価に賛成であるが、患者が退院後も継続してリハビリテーション等に取り組めるような評価も必要と指摘した。 また、「ニコチン依存症管理料」については、当面の間、算定に同意するとしたうえで、厚生労働省としての禁煙対策をあらためて示すよう求めた。 次に、「後発医薬品の使用促進」について、これまでの経緯および日医の調査や見解を示したうえで、論点に沿って見解を述べた。 (1)「薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し」で、要件を、数量ベース(現在は処方せんベース)での後発医薬品の使用割合で規定する案については、特段の問題はないが、今後は、一貫して対応してほしいとした。 (2)「薬局における含量違い又は剤形違いの後発医薬品への変更調剤」では、「含量変更」については、患者の同意如何にかかわらず、処方薬の問題は処方医の責任になるので、薬局において、次回以降は、含量を変更以前に戻すことを条件にすべきとした。また、「剤形変更」については、医療現場を担う医師の立場から反対と主張。さらに、「変更不可」の記載は、診療の妨げにならないよう、チェック欄へのチェックで良いようにすべきと述べた。含量変更についての保険医療機関への情報提供は、「原則として」ではなく、徹底させるべきとした。 (3)「医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価」は、おおむね同意できるが、使用品目割合について考慮して評価すべきと述べた。また、厚労省に、後発医薬品メーカーに対して、安定供給のための指導・管理を徹底することを求め、具体的な方法については、診療報酬改定(2010年4月)までに示してほしいとした。 (4)「保険医療機関及び保険医療養担当規則等の改正」では、保険医が、患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない旨を規定する案について、反対と明言。療養担当規則は、保険診療上の行動原理を規定したものであり、患者への説明の内容にまで立ち入ることは、医師の裁量権の侵害であると主張した。さらに、後発医薬品の使用は、そもそも医療費抑制のために促進されてきたとして、療養担当規則に、医療費およびその財源にかかわる内容を持ち込むべきではないとの見解を示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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