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定例記者会見 「診療報酬改定に向けて入院料に関する日医の見解を示す」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、12月24日の定例記者会見で、12月18日の中医協基本問題小委員会における長期入院患者に係る診療報酬についての議論を受け、日医の基本的スタンスとして、「1.必要な医療を確実に行うため、入院基本料は原則、出来高払いとすべき」「2.年齢や入院期間によって入院基本料に差をつけるべきではない」の2点を挙げ、中医協に示された論点に対する日医の見解、要望を示した。
「後期高齢者」の名称の廃止を前提として、一般病棟で90日以上入院を継続する患者に係る入院料の診療報酬上の評価について、まず、年齢要件については、現行では減額対象となる者を75歳以上に限定しているが(後期高齢者特定入院基本料)、これを他の年齢へ広げることについては、その理由は全くないとして、明確に反対姿勢を示した。
次いで病態要件の見直しについては、現行の特定除外項目を廃止し、療養病棟入院基本料で用いている医療区分採用項目またはADL区分に試行的に置き換える考えに反対した。そして、患者分類については、引き続き実態調査を積み重ねて、診療報酬に適切に結びつけるべきであるとした。
さらに支払い方式の議論については、必要な医療は制限されてはならず、医療は原則、出来高で評価すべきで、長期入院を理由に包括化することは認められないとして、これまで「後期高齢者特定入院基本料」の90日超の包括化自体が容認できないものであったが、対象を全年齢階級に拡大しようという事務局案には絶対反対であるとの立場を明らかにした。
また、同常任理事は、有床診療所について、あらためて特に重要かつ緊急な課題として、「1.入院基本料の全体的な引き上げ」「2.長期入院患者への適切な評価」「3.入院期間14日以内の評価」の3点を挙げた。
1については、有床診療所の入院基本料は病院と比べてはるかに低く、それぞれ最も低い場合、病院(一般病棟)は1日575点、有床診療所はその半分の 280点でしかなく、全体的な底上げが必要であると訴えた。2については、有床診療所が長期入院患者の受け皿としての機能を維持できるよう、長期入院(31日以上)の入院基本料を引き上げるべきであるとした。3については、有床診療所は短期間の入院への加算がなく入院基本料だけであり、しかも、入院8日以降の逓減制がとられていることを問題視。今後も急性期医療を提供することができるよう、14日以内の入院を適切に評価すべきであると述べた。
そして同常任理事は、有床診療所と無床診療所、あるいは有床診療所間の配分見直しにより安易に財源捻出することは絶対に認められないとして、これらの課題には新たな財源を確保して対応すべきであると強く要望した。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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