白クマ
日医白クマ通信 No.1228
2010年1月7日(木)


定例記者会見
「再診料統一について日医の見解を示す」
―中川常任理事

定例記者会見


 中川俊男常任理事は1月6日の定例記者会見で、2010年診療報酬改定における再診料に関する報道を受けて、改めて日医の見解を述べた。

 報道の経緯を見ると、昨年12月16日の中医協基本小委にて病院と診療所の再診料統一に合意したと報じられたが、中医協における議論では、統一の方法論までが決定されたわけではなかった。しかし、12月27日、厚生労働省が再診料について診療所を引き下げる一方、病院を引き上げて一本化する考えを示した記事が配信された。さらに、本年1月6日に、再診料について「厚生労働省足立政務官は『病院の点数を診療所に合わせる判断を中医協がすることはあり得ない』と述べ、現行の診療所の点数は引き下げることになるとの見通しを示した」とするとともに、「再診料を引き下げて得た財源で、不採算の診療科を『手厚く加算すればよい』と述べた」と報じられた。

 これらの報道に対して同常任理事は、「再診料格差の是正策について、一部メディアに具体的な方法がリークされた。報道をきっかけに既成事実化しようとしているようであり、きわめて遺憾」と述べ、足立政務官の発言に対しては、厚生労働大臣の諮問機関である中医協の議論に対し、政務官の立場から政治的に圧力をかけるものとして、断じて容認できないとした。

 同常任理事は、再診料の統一に対する日医の見解として、病院の再診料を引き上げて、診療所の再診料に統一していく方向に賛成であるとした。

 そのうえで、現在の点数はいずれも不十分であり、本来はともに引き上げるべきであるが、2010年改定の財源は非常に限られたものであるため、まず今回は、病院の引き上げ幅をある程度多くして診療所の水準に近づけ、次回以降、再診料のあり方について十分な議論を行った上で、より高い水準での統一を図ることを提案した。

 さらに、病院は入院診療収入も多いが、診療所の収入の8.5%は再診料によるもので、再診料には、医師の技術料のほか、看護職員やコメディカルの人件費、減価償却費、光熱水費、事務経費などが含まれる。再診料の重みの大きい診療所にとって、再診料の引き下げは、医業経営上、きわめて大きな打撃であるとして、引き下げに反対の姿勢を示した。

 また、有床診療所においても「再診料などの外来収入で入院の赤字をカバーしている現状が報告されており、再診料を引き下げれば、急性期医療の後方支援病床としての機能を担う貴重な入院施設を失うことになりかねない」として、懸念を示した。

 また、報道での足立政務官の発言が、診療科間の格差を是正するため再診料を引き下げる代わりに、特定の診療科が算定できる加算を設けることを示唆しているとして、再診料は、全ての診療科に共通の技術料、経営コストであり、たとえ加算が創設された場合でも、再診料を引き下げることに反対とした。

 同常任理事は、「今回の診療科間の配分の見直しは、診療所間の無用な対立、分断を通じて医療全体の弱体化を招き、地域医療の崩壊がさらに深刻化する。医療再生が至上命令である中にあって、理念や根拠があいまいな配分の見直しを断じて容認することはできない」と述べた。

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