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定例記者会見 「財務省主導で行われた診療報酬改定への見解−薬価改定率に着目して−」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、「2010年度の診療報酬改定率は実質ゼロ改定である」との一部報道を受け、2月4日の定例記者会見で、薬価改定率に着目した診療報酬改定に対する日医の見解を公表した。
同常任理事は、まず、報道の内容について、「診療報酬改定率は+0.19%と公表されているが、この枠外に後発医薬品の使用促進分▲0.16%があるので、実際の改定率は+0.03%に過ぎない」との指摘であると説明した。そのうえで、薬価改定率決定までの経緯を示し、「薬価改定による金額は、叩き台では ▲4,800億円(▲6.2%)であったが、決定額は▲4,500億円(▲5.75%)となった。主な理由として、『後発医薬品のある先発品の追加引下げ』分が改定財源から外され、大臣折衝資料に『別途、後発品の置き換え効果の精算を行う』と明記されたためである」と述べた。そして、引き下げ率は当初予定されていた▲2%から▲2.2%(金額ベースでは▲600億円)に拡大したことを示し、「診療報酬全体で+700億円(+0.19%)の改定に、仮にこの『後発医薬品のある先発品の追加引下げ』分を加味すれば、診療報酬全体の引き上げ分は100億円(700億円−600億円)となり、その結果、診療報酬改定率は0.027%、これに係る国庫負担分は25 億円に過ぎないと」指摘した。
さらに同常任理事は、「別途、後発品の置き換え効果の精算を行う」ことについて、予算折衝以前の中医協ではまったく説明されていなかったとして、まさに、財務省の詭弁、奇策であり、診療報酬改定が財務省主導で行われたことがあらためて露呈したと述べた。
また、「実質ゼロ改定」の報道に対する、「『先発品から後発品への置き換え』による財源は、本来的に医療機関の収入とみなされるべきものの減少につながる訳ではないことから、一貫して、診療報酬改定の財源とはしてこなかった」との厚生労働省の反論については、2008年度改定を例に、後発医薬品の使用促進による▲220億円も社会保障費の削減額に組み込まれており、広い意味では診療報酬改定財源であったとし、反論文書は説明不足であり、報道があるまで、厚労省自身が薬価改定の経緯、内容について明確な説明を行ってこなかったことも問題であると述べた。
同常任理事は、今回の診療報酬改定の経緯を振り返ると、まさに財務省の一省主導であったとして、今後は、新政権がさらに政治主導を発揮し、医療費増加の公約を徹底して貫くことをあらためて期待し、日医としてもこれまで以上に財務当局と対峙していくとともに、厚労省政務三役を応援していきたいとした。
さらに、今回の財源について、「2200億円の削減」が撤廃されたことによって、1.55%という本体の改定財源が手当てされたことは、旧政権当時と比べると大幅な改善であり、評価したいとしたうえで、だからこそ、ネットの改定率は正確に表現し、説明を尽くすべきと主張した。
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