|
定例記者会見 「長妻厚生労働大臣の所信表明について」 ―中川常任理事 |
同常任理事は、大臣からの文書について、「所信表明に、社会保障政策と経済成長は一方を重視すれば他方が犠牲になるというトレードオフの関係でなく、クルマの両輪として共存共栄の関係にあるとの内容を盛り込んだ」とあるが、これは、日医がかねてから主張しているとおりであると賛意を示した。 さらに、大臣が、社会保障を「コスト」として捉えるのではなく「未来への投資」と捉えていることや、新しい人事評価基準を導入すると同時に、厚生労働省に不足する3つの力「実態把握能力」「コミュニケーション能力」「制度改善能力」を強化して、これまでの役所文化を変えることが重要と考えていることを紹介した。 提出文書は以下の通り。 2010年3月2日 厚生労働大臣 長妻 昭 殿 社団法人 日本医師会
2010年2月17日、長妻厚生労働大臣におかれては、衆議院厚生労働委員会において所信表明を行われました。これに関し、長妻厚生労働大臣から、私および厚生労働省関係の審議会委員である弊会役員に対し、意見、提言を求められました。今回、まず、私から若干の意見、お願いを申し上げたいと存じます。 最初に、大臣が私どもに意見を求められたことについて感謝いたします。日本医師会は、医療の専門職集団であり、医療現場を担う医師の声を代表する立場にあると自負しております。そしてこれまで、「グランドデザイン2009−国民の幸せを支える医療であるために−」(2009年2月刊行)、「日本医師会の提言−新政権に期待する−」(2009年10月刊行)ほか、さまざまな局面であるべき医療政策の提言を行ってまいりました。大臣におかれましては、「グランドデザイン」等をご参考いただき、今後、さらに真摯な意見交換させていただけるよう要望します。 次に、今回、所信表明ということで、当面の政策課題をお示しいただきましたが、大臣には、医療政策における基本理念をおうかがいしたく存じます。大臣に医療政策にかかわる中長期ビジョン策定のイニシアチブをとっていただくこと、またその際には、繰り返しになりますが、私ども日本医師会の政策、提言を検討の土俵に上げていただくようお願いします。 日本医師会は、現政権がこれまでの社会保障費抑制政策を転換されたことを大いに評価しております。しかし、今回の診療報酬改定においてもなお、財務省は財政中立下での財源配分を強固に主張いたしました。財源ありきの議論では、いつまでも日本の医療の真の再生はありません。大臣主導の下、厚生労働省には強力に財務省に対峙していただくよう要望します。そのためにも、あらためて中長期ビジョンを提示されることが望まれます。日本医師会も現場の実態を把握、分析してお示し、また日本医師会の政策提言能力もさらに強化し、ともにあるべき医療の実現に尽力したいと思います。 以上、大臣所信表明に対し、総論としての所感、要望を述べました。分野ごとの政策課題につきましては、日本医師会の「グランドデザイン」にお示ししているほか、各審議会委員等から都度、意見を述べさせていただきたいと存じます。 以上 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
|
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |