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定例記者会見 行政刷新会議「規制・制度改革分科会」について日医の見解を説明 ―中川俊男常任理事 |
中川俊男常任理事は、3月3日の定例記者会見で、3月に設置期限を迎える規制改革会議に代わり、行政刷新会議の下に設置される「規制・制度改革分科会」について日医の見解を説明した。
報道によれば、分科会長は大塚耕平内閣府副大臣で、規制改革会議議長ほか同会議の中核メンバーも引き続き起用される方向である。規制改革会議は、昨年12月4日、医療分野の「重要取組課題」として、1)保険外併用療法(いわゆる「混合診療」)の在り方の見直し、2)医療情報に係る改革、3)診療看護師資格の新設―等を選定した。
同常任理事は、日医は、これまでも混合診療解禁、診療看護師資格の新設に反対してきたが、この「重要取組課題」がそのまま、本年1月12日の行政刷新会議に参考資料として配布され、特段の意見もなく、新たな「規制・制度改革分科会」の設置が決定したと指摘。さらに、同日の行政刷新会議で、仙谷由人行政刷新会議副議長(当時)は、「『新成長戦略』を踏まえて(中略)規制改革を進めたい」と述べていると説明。
この「新成長戦略(昨年12月30日閣議決定)」のなかで、医療については「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」として、「医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出、新規市場約45兆円、新規雇用約280万人」を2020年までの目標とし、主な施策として、1)医療・介護・健康関連産業の成長産業化、2)日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発推進、3)医療・介護・健康関連産業のアジア等海外市場への展開促進、4)バリアフリー住宅の供給促進、5)医療・介護サービスの基盤強化―が挙げられている。
これらについて、同常任理事は、「産業、市場というキーワードがあり、市場原理主義に立ち返ろうとしているのではないか」として強い懸念を表明。そのうえで、規制・制度改革分科会の設置に対する日本医師会の見解として、第一に、現政権である民主党は、かつては規制改革そのものにも否定的であり、今回、前身組織のメンバーを再起用し、市場原理主義重視という規制改革の悪い流れを引き継ごうとしていることに驚きを禁じ得ない。特に、報道によれば分科会長に就任される大塚内閣府副大臣は「前政権よりポジティブに臨む」と発言されているが、「市場原理主義への回帰は絶対に認められない」とした。第二に、規制改革会議が重要取組課題として選定した、いわゆる混合診療の解禁や診療看護師資格の新設などは、現政権である民主党のマニフェストには一切ないにもかかわらず、行政刷新会議でそのまま配布されている。新たな「規制・制度改革分科会」のお墨付きを得て、各課題を強行突破しようとしている意図も感じられるが、「現政権にあっては、公約とも照らし合わせ、政治主導で国民のための改革を実現されるよう要望する」とした。
最後に同常任理事は、「分科会のスタートに際し、官僚が巧みに主導的な役割を担っているのではないかと心配する。ぜひ、民主党政権には、今後の議論の進め方において、今の地域医療の崩壊の主たる原因が、小泉政権から始まった医療費抑制政策、市場原理主義の導入だということをもう一度再確認して欲しい」との考えを示した。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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