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定例記者会見 「統合医療に対する日医の見解」 ―中川俊男常任理事 |
この数カ月、国会において、民主党議員から統合医療の推進を求める発言が相次いでおり、鳩山由紀夫首相も前向きに取り組む意向を示している。 さらに、厚生労働省に「統合医療プロジェクトチーム」が設置され、2月5日に初会合が開かれた。そのなかで、厚労省は統合医療の定義について、伝統医学、自然療法、ハーブ(薬草)、音楽療法などを相補・代替医療と位置付けたうえで、「相補・代替医療を近代西洋医学に統合して、患者中心の医療を行うもの」とした。 同常任理事は、統合医療に対する日医の見解の第一点目として、本定義について、厚労省が独自にまとめたものであり、国民や医療関係者の共通認識が持たれていないことを指摘。統合医療でなければ患者中心の医療でないかのような整理がなされている点を問題視し、「まず医療界で議論することが必要である。統合医療推進ありきで議論に入るべきではない」と牽制した。 また、3月に設置される予定の行政刷新会議の規制・制度改革分科会の動向に言及し、統合医療が混合診療全面解禁の引き金になりかねないことや、診療看護師資格の新設等が統合医療の国家資格拡大につながりかねないことが懸念されるとした。 第2点目としては、鳩山首相が統合医療について、医療費削減につながるとの認識を示していることを挙げ、「医療費増大を約束した民主党マニフェストと相反する。日医は、医療費削減政策への回帰に断固反対である」と強調。2006年以降の医療費抑制で、地域医療が崩壊したことを忘れるべきではないと述べた。 第3点目としては、足立信也政務官が衆議院厚生労働委員会で、予防医療のあらわれが統合医療の推進であるとの認識を示したことについて、「その理由も、根拠もまったく示されていない。医療に関し、軽々にこのような発言をされることは遺憾である」と苦言を呈するとともに、このような関連付けに対し、医療費適正化計画の下に始まった特定健診・特定保健指導の検証はこれからであり、その結果を慎重に見極めるべきであるとした。 中川常任理事は、エビデンスの下で有効性、安全性が確認された医療は、漢方も含め、公的保険に採り入れられているとして、「今、あえて科学的根拠が確立していない統合医療が推進される背景には、混合診療を解禁し、市場原理主義に立ち返ろうという狙いがあるのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。日本医師会はこのような流れに強く反対する」と強く述べた。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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