白クマ
日医白クマ通信 No.1275
2010年4月15日(木)


定例記者会見
「新たな情報通信技術戦略の骨子(案)」に対する見解を公表
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は、4月14日の定例記者会見で、内閣官房の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が公表した「新たな情報通信技術戦略の骨子(案)」に対する日本医師会の見解を公表した。

 骨子案では、3つの柱の1つ「地域の絆の再生」において、「情報通信技術を活用することにより国民が地域を問わず質の高い医療サービスを受けることを可能にするための明確な目標を設定」等の内容が謳われている。

 同常任理事は、公表に至った経緯について、「3月29日から4月9日まで、骨子案に関するパブリックコメントが募集されていたが、新執行部発足のタイミングと重なり、日医として十分な議論ができなかった。しかし、大変重要な問題が包含されているため、議論したうえ、正式な見解を公表することとした」と述べ、日医の考えを次のように説明した。

 まず総論に対しては、皆保険制度を堅持しながら、ITを用いてどのような社会保障制度を実現するのか、そのためには何が必要か「国民的な議論」を十分に行い、施策の実現には政府と現場一体で取り組むべきと提言。地域の独自性や患者、医療提供体制等による差が大きいことも十分考慮し、医療現場からの意見聴取や調整のないままに、骨子を政府の施策として強硬に推し進めることがないよう強く要望するとした。

 次いで、各論の「全国どこでも過去の診療情報に基づいた医療を受けられるとともに、国民が自らの健康・医療情報を電子的に管理・活用するための全国レベルの情報提供サービスを創出」に対しては、(1)国家によるプライバシー侵害への不安や国民管理に関する懸念、(2)情報提供サービスの情報管理と費用の問題、(3)過去の資産(検討結果)活用による無駄の排除―を、また、「匿名化されたレセプト情報などを一元的なデータベースとして官民で集約し、広く医療の標準化、効率化、サービスの向上に活用」については、(1)レセプト情報に対する過度の期待への懸念、(2)現場への配慮、(3)レセプト情報活用に対する制度設計の必要性―をそれぞれ指摘している。

 最後に同常任理事は、日医の意見を顧みることなく施策が決定、推進されることへの懸念を示し、今後も政府に強力に働きかけていきたいと述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会広報・情報課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒意見PDF(154KB)骨子案PDF(304KB)


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