このたび、私ども役員をご選出いただき、ありがとうございます。大変光栄であると同時に、今後の重責を身にしみて感じております。
小泉政権下での市場原理主義による行き過ぎた医療費削減政策の結果、医師の誇りは踏みにじられ、地域の医療は崩壊しました。日本の医療を建て直すのは、政権交代が起こった今しかない。そのために、日本医師会員が一致団結した闘う医師会を作りたい。私は、このような思いから日本医師会長に立候補いたしました。4月1日に、会長に選出いただき、その決意をより強くいたしたところです。
日本医師会が闘うためには、日本医師会を改革し、国民に信頼される医師会でなくてはなりません。
◇医師の一致団結した行動のために
私たちは、財務省や厚生労働省によって、勤務医と開業医という分け方をされています。しかし、医療再生のために、医師のエネルギーを分散させられるべきではありません、そこで第一に、医師が一致団結した行動をとるべく、ひとりひとりの会員の声を大切に聴く日本医師会を目指します。日本医師会のホームページに、私に対する会員の皆さまからのご意見、ご要望を入力できる仕組みを設け、私自身が傾聴させていただきます。
また、日本医師会が各方面と協議し、意見集約をして協調して行動できるよう、「診療所連絡協議会」「病院連絡協議会」の設置を検討します。
◇国民の安全と安心を守るために
政権交代まで、経済が優先され、本当の医療のあり方は後手に回されてきました。このような社会は絶対に直さなければなりません。良い医療制度がない国民は不幸です。本当に良い医療ができてこそ、国民に対して生涯の安心と安全を約束できます。そして私たち日本医師会は、国民の生命と健康を守る責務があります。そこで第二に、これまで議論が中心であった日本医師会の委員会を、行政や地域住民の方とも協力できる仕組みにし、幅広い視点から活動できる組織に組み替えます。新型インフルエンザなどの緊急事態に対しても、国民や政府の要請に迅速にこたえられる体制を構築します。
◇あるべき医療の姿を提示するために
新政権が医療費増加政策に転換したことで、医療再生への期待がもてるようになりました。当然、これまでのようにいかに医療費を抑制するかといった発想ではなく、どのような医療を提供するかといった発想が必要です。そこで、第三に、日医総研を強化し、科学的な分析力と情報収集力を高めます。私自身が日医総研を統括し、政府で決定された政策への反論から脱却して、日本医師会から政府に政策を提言できるようなエビデンスおよび理論構築を求めます。
◇闘う日本医師会にむけて
日本医師会が変革しなければ闘うことはできません。日本医師会という組織そのものを改革するため、諮問委員会を設置します。同時に、医師会の事業、会計についての透明性を高め、情報を原則公開いたします。
また、直接選挙による会長選挙の是非を検討するため、独立した委員会を設け、徹底した議論を行います。
そして、政治に対しては是々非々で対応します。政権与党とのパイプは必要ですが、大切なのは政権与党との距離です。日本では、当面緊縮財政が続くと見込まれ、財務省も財政中立の姿勢を崩してはおりません。この中で、十分な医療財源を確保し、医療再生を果たしていくために、日本医師会員の総意、国民の声を力とし、政府が間違っているときは厳しく指摘し、政府が正しいときにはこれを後押しします。
闘う日本医師会のため、私自身、必死で闘います。そして日々の闘いの中で、日本医師会のあり方、基本理念をもう一度きちんと考え直していきたいと思います。日本医師会は、これまで学術団体だとして共通の認識を持ってきました。もちろん、医師は高い学問的専門性をもって診療します。生涯、学ばなければならないことは当然です。しかし、さらに学術的な活動と実際的な医師会活動とを協調させていかなければなりません。そのためにどうあるべきか、その答えが出たときこそ、日本医師会自身の再生を果たせるのではないでしょうか。
この激動の時代、先頭に立って闘って、闘って、医師の誇りと医療への国民の信頼を取り戻したい。なにとぞ、皆様のご指導とご支援を賜りますようよろしくお願い申しあげます。
◆問い合わせ先:日本医師会庶務課 TEL:03-3946-2121(代)
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