白クマ
日医白クマ通信 No.1287
2010年6月10日(木)


定例記者会見
「菅新総理大臣に期待感示す」―原中会長

定例記者会見


 原中勝征会長は、菅新内閣が6月8日に発足したことを受けて、6月9日の定例記者会見に臨み、菅直人新総理大臣への期待感を示した。

 原中会長は、まず、菅総理大臣が就任後の記者会見で、政治の役割というのは最小不幸の社会をつくることであるとし、「強い経済と強い財政と強い社会保障を一体として実現をする」と発言したことを評価。まさに、強い財政に裏打ちされた社会保障政策の下で、医療再生を切望する日医の方向性と一致するものであり、政策の実現に向け、しっかりと支援していきたいとの考えを示した。

 そのうえで、民主党を中心とする連立政権発足後の政策を振り返り、社会保障費抑制政策の撤廃、診療報酬の引き上げなどが着実に実行されてきたとして、先の衆議院議員選挙の公約において、民主党は総医療費対GDP比をOECD加盟国平均にまで引き上げることを明言していることから、今後も医療費の増加が期待されるとした。

 その一方で、前内閣では、混合診療の原則解禁、医療ツーリズムなどの検討が進み、公的医療費ではなく、私的医療費を引き上げることで、OECD加盟国平均なみの医療費を目指しているのではないかとの疑念も生じたと指摘。日医は、国民皆保険の下、公的医療保険を堅持し、さらに拡充することを第一義と考えるとして、私的医療費を拡大し、公的医療費支出を抑制するようなことになれば、所得によって受けられる医療に格差が生じかねないと主張した。

 さらに、原中会長は、菅総理大臣が、「社会保障の多くの分野は、経済を成長させる分野でもある」と発言したことにも触れ、「日医も、医療、介護は、雇用を創出し経済成長を実現する有力な分野であると認識しており、その成果を強い公的社会保障給付として還元していくべきと考えている。その際には行き過ぎた市場原理主義、競争政策によって弱者が切り捨てられることは、決して認められない」と強調。現在、新成長戦略のとりきめが行われているなかで、「庶民派ともいわれる菅総理大臣には、ぜひとも、庶民の気持ちをおもんぱかり、すべての国民にやさしい社会保障、医療を守っていただくことを切望する」と述べた。

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