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定例記者会見 「混合診療の全面解禁と医療ツーリズムに関する見解を公表」 ―中川俊男副会長 |
規制改革会議の後継組織として行政刷新会議に設置された、規制・制度改革に関する分科会の、医療について検討するライフ・イノベーションWGでは、4月5日に開催された第1回会合の検討テーマに「保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の原則解禁」と「医療ツーリズムに係る査証発給要件等の緩和(医療ビザ、外国人医師の国内診療)」が盛り込まれた。6月7日に取りまとめられた分科会の第一次報告書案では、「混合診療」「医療ツーリズム」という表現はないものの、同副会長は「根底にある考え方は混合診療の全面解禁、医療ツーリズムそのものである」と指摘した。 保険外併用療養の見直しについては、現行の仕組みのなかで拡大することや、評価のスピードアップには賛成だとしたうえで、安全性・有効性の確保のために一定の要件を確保することは必須条件であり、医療は生死にかかわる問題であるため、事前規制から事後チェックへ転換することには反対だとした。 また、混合診療の全面解禁の問題点として、1.公的医療保険の給付範囲の縮小、2.公的医療保険に対する信頼性の低下、3.患者負担の増加―を掲げ、改めて反対の姿勢を強調した。 一方、医療ツーリズムについては、経済産業省が6月1日に発表した「産業構造ビジョン2010」でも、骨子案の戦略5分野のなかで受け入れ拡大が示されていることを指摘し、現在は、地域医療崩壊の危機にあり、医療を成長産業としてとらえるのは良いが、まずは、地域医療再生の道筋を示すべきであるとした。 そのうえで、医療ツーリズムにより、医療機関が外国人患者に対して自由価格を設定して収益を上げ、経営状況が好転するようになれば、保険診療で受診している多くの日本人患者が後回しにされる可能性を示唆。日本人のなかにも全額自己負担で優先的に検査・治療を受けたいという人が現れることが想定されることから、このことが混合診療の全面解禁への後押しになると述べた。 中川副会長は、市場原理主義的な考え方で私的医療費支出を増加させることが国民皆保険の崩壊につながるとして、このような考え方を牽制した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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