白クマ
日医白クマ通信 No.1291
2010年6月17日(木)


定例記者会見
「医療関連データベースの昨今の状況に対する日医の見解」
―石川常任理事

定例記者会見


 石川広己常任理事は、6月16日の記者会見で、医療関連データベースに関係する昨今の動きに対して、日医の見解を明らかにした。

 同常任理事は、内閣官房IT戦略本部「新たな情報通信技術戦略」、厚生労働省「医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」、内閣府「規制・制度改革に関する分科会」などの検討内容を例示し、「これら戦略や提言等の発端は『高齢者の医療の確保に関する法律』に掲げられた『医療費適正化計画の作成等のための調査及び分析等』(第16条)を元に構築するとしている、いわゆる『ナショナルデータベース』の利活用にある」と指摘した。

 今回のナショナルデータベースの活用に関する問題点として、(1)レセプト情報の利活用に関する過度の期待、(2)プライバシーの問題、(3)総合的な環境整備の不備、(4)縦割り行政―を示し、「『ナショナルデータベース』は、医療サービスの質向上のために活用するものであるが、解決して行くべき課題も多い。そのため現段階で一足飛びに疫学研究や第三者への提供、二次利用に供することができる位置付けのものではない」と指摘した。

 さらに、今後の進め方について、「厚労省として一体的な施策の展開」「第三者が利用する場合の制度設計」「現場の意見を取り入れるべきであること」を提言。同常任理事は、「今回のナショナルデータベースについては、二次利用が『ありき』で検討され、環境整備の足固めが進んでいないこと、現場の意見を十分聴取した形跡が無く、国民の理解を得ようとした努力もみられない」として、今後の進捗に対して強い懸念を表明した。

 加えて、第三者の利用が考えられることから、情報の収集・分析に係わる運用の評価や監視する体制を早急に構築する必要があると強調した。

 また、同常任理事は、「規制・制度改革に関する分科会第一次報告書」に盛り込まれている「ICTの利活用促進(遠隔医療、特定健診保健指導)」に対する見解として、「医療関連データベースを巡る状況と同じく、医療などの現場からの十分なヒアリングが必要であり、臨床的な効果、医療保険制度における混乱がないよう十分な議論が必要」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会広報・情報課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒医療関連DB見解PDF(180KB)ICT見解PDF(81KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.