白クマ
日医白クマ通信 No.1298
2010年7月1日(木)


定例記者会見
「医師数増加に向けての日医の見解を示す」
―中川副会長

定例記者会見


 中川俊男副会長は、6月30日の定例記者会見で、鈴木寛文部科学副大臣が、24日に行われた定例記者会見で、医学部新設について今秋から本格的に検討を始める考えを示したとの報道に触れ、「医師数増加」に向けての日医の見解を、改めて示した。

 同副会長は、初めに、報道では「新設医学部の施設面については『基本的には今ある病院などを最大限活用する』と述べ、地元の公立病院の利用などを想定。人材面では看護学部、薬学部などを既に持ち、基礎医学系の教員を抱えていることなども条件になるとの見方を示した」とあるが、「まるで、どこかの病院を想定しているような気がする」と疑問を呈した。

 これまで、日医は、医師養成数の増加は、既存医学部の定員増によって行うべきであるとし、医学部新設によって対応することについては、(1)教育確保のため、医療現場から医師を引き揚げざるを得ず、地域医療の崩壊を加速する、(2)教員が分散し、医学教育の水準、ひいては、医療の質の低下を招く、(3)人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる―という理由から反対の姿勢を示してきている。

 また、日医は、現状の二次医療圏別医師数の分布や日医「医師確保のための実態調査」(2008年10月)等を踏まえて、医師数を中長期的に1.1〜1.2倍にすることが妥当ではないかとの見解を示し、そのためには、1.財源の確保、2.医学教育の質の確保も含めた医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立、3.医師養成数の継続的な見直し―をすることを前提条件としてきた。

 さらに同副会長は、医師養成数の増員だけでは、地域の医師偏在は解消しないと指摘。「日医は、研修医が出身大学のある都道府県内で施設間をローテーションする“地域医療研修ネットワーク”を提案してきたが、改めて地域で医師を育てるための仕組みの検討に着手した」と述べ、そのために、現在各地で進められている医師偏在の解消に向けた取り組みについて、情報を収集・分析することを明らかにした。

 また、医師偏在の解消に向けては、一定の制約をもたせた仕組みの検討も避けては通れないとし、「地域医療を守る医師会として、医師配置の問題についても、しっかりと取り組み、大胆な施策を打ち出したい」として、今後の方針の見直しのなかの一つの大きなテーマとして検討していく考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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