白クマ
日医白クマ通信 No.1318
2010年9月2日(木)


北海道小樽市医師会
「小樽市医師会が小樽市立病院新築統合問題で小樽市病院局と公開で会合」

 8月18日、小樽市医師会は市立病院統合再建問題について小樽市病院局と話し合った。10年前後にわたって両者は協議を続けてきたが、今回は初めて会合を公開とし、多数の小樽市市議会議員、医師会会員および報道陣が傍聴した。両者の会合を公開するのは初めての試みである。

 医師会側はこれまでどおりコンパクトな病院をできるだけ安価に建築すべきであり、また経営形態についても“市立”にこだわらず検討すべきであると具体的な事実を示して主張した。市立病院の経営実態も詳しく分析して示すと共に、公立病院のあり方や、今後公的病院がDPCを採用した場合の小樽市内に必要な病床数なども示した。

 しかし小樽市側は現在計画している規模で設計を開始する意向を表明し、建築費用や、経営形態についても見直す可能性を示すことはなく、両者の意見は対立したままであった。また困難さを増している二次救急体制についても見解の相違が大きく、今後に検討課題が残された。

 小樽市では20年ほど前から離れた地域に存在する二つの市立病院の再建統合が必要とされていた。昭和28年から33年にわたって建築された市立小樽病院と昭和43年に建設された市立医療センター(旧称第二病院)は共に老朽化が著しい。ようやく2006年12月に基本設計に着手したが、翌2007年には当時44億円あまりの不良債務解消のめどが立たず、用地取得もかなわぬまま計画は中断していた。

 以前から小樽市は年間約2,000人を超える著しい人口減少が続いていており最盛期には20万を超えた人口が現在では約13万人である。国内外での観光地としての知名度は高いものの有力な産業が無いため、生産人口の減少が特に著しく、高齢化率が30%を超えている。今年はじめに過疎市の指定を受けるに至って、過疎債の借り入れが可能となり市立病院の立て替え構想が再度浮上してきた。

 市立小樽病院は従来実施していた周産期医療、結核病棟を廃止、小児科は常勤医がいなくなり外来のみに縮小などいわゆる公的医療、不採算医療を次々と廃止・縮小してきた。それにもかかわらず赤字体質が改善されていない。

 小樽市は昨年病院改革プランを策定している。初年度の21年度は約20億を一般財政から繰り入れたが、収入不足のため赤字となりさらに約4億円を追加した。結果として単年度で約24億円が繰り入れられる事態となっている。今後も毎年12億円を超える一般財政からの繰り出しを予定しているが、計画に比べ収入の落ち込みが著しく、毎年大幅な追加繰り入れが必要となる可能性がある。

 このような事態に鑑み小樽市医師会は経営形態や建築費用・規模の大幅な見直しで市民負担をすこしでも軽減すること、市民によりよい医療体制を提供し続けるための話し合いなどを提案した。

(文責:小樽市医師会広報部担当理事 村一郎)

◆問い合わせ先:小樽市医師会 TEL:0134-22-4111


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