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定例記者会見 「医師不足および偏在解消に向けての日医の見解示す」 ―中川副会長 |
今回の会見は、9月29日に厚生労働省から「病院等における必要医師数実態調査の概況」が発表されたこと、また、同日に文部科学副大臣から、文科省内に専門家会議を設置し、大学医学部の新設や定員増に向けた議論を始める考えがあるとの報道がなされたことから、医学部の新設をもって医師数の増加を図ることに反対を表明する日医の見解を改めて示すことを目的として、行われたものである。 同副会長は、まず、今回の厚労省の調査と日医が2008年10月に実施した「医師確保のための実態調査」の結果を比較したうえで、「両調査からは、マクロで見れば現状の1.1倍以上の医師数が必要とされていることがうかがえる」とする一方、この結果は、あくまでもマクロの結果であって、地域間の偏在はさらに深刻であると指摘。また、いずれの調査も現状の必要性を調査したものであり、勤務医の過重労働を緩和し、あるべき医療を提供していくための必要医師数については今後、継続的に検討し、見直していく必要があるとの考えを示した。 さらに、同副会長は、「医学部入学定員は、2010年度までの間に1221人増加しており、この数は新設大学医学部の定員数を100人と仮定すると、約12大学分に相当すること」「既存医学部入学定員の増員および人口減少によって、日本の医師数は2020年ごろには現状の1.2倍になると推計されること」を説明。これらのことを踏まえれば、今後、必要な医師数は徐々に充足されていく可能性があるとして、医学部を新設するという拙速な対応は避け、継続的に需給見直しを行いつつ、必要医師数を冷静に判断していくべきであるとした。 そのうえで、同副会長は、現在の問題はむしろ医師の偏在にあるとし、その解消に向けて、現在、日医執行部内で、プロフェッショナル・オートノミーの理念の下、「地域貢献」を視野に入れた研修制度、地域間・診療科間の偏在解消に向けた仕組みの検討を進めていることを明らかにした。 また、同副会長は、医学部新設の問題点を改めて示すとともに、現在、報じられている医学部新設の動きについて、「すでに複数の病院を経営しているところが主体となっており、医学部新設によって、これらの病院への医師供給は充足されるかもしれないが、地域の医師不足、ましてや医師偏在が解消されるわけではない」と指摘。また、医師養成数の増加が、厚労省ではなく、文科省主導で行われることに強い危惧を表明し、厚労省の主導により、あるべき医療を踏まえた検討が進められるべきであるとした。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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