白クマ
日医白クマ通信 No.1347
2010年11月12日(金)


定例記者会見
「日本医師会 国民の安心を約束する医療保険制度」について
─ 原中勝征会長・中川俊男副会長

定例記者会見


 原中勝征会長は、11月11日の定例記者会見で、「日本医師会 国民の安心を約束する医療保険制度」をとりまとめたことを報告した。

 同会長は、「医療が高齢者を切り捨てるようなことがあってはならないとの信念の下で、高齢者をどのような制度で守れば良いのか、現執行部ではゼロベースで考え直すことにした」と述べ、そのため、日医の歴史をひもとき、歴史に徹底的に学び、「若者から高齢者まで、公平に安心して医療を受けることができるようにするためには、全国ひとつの医療保険制度にすべきではないか」との結論に至ったと説明した。そして、これは、「高齢者を手厚く守る」というこれまでの日医の提案と、いささかの齟齬もないとした。

 また、「日医は、地域保険としての一元的運用を目指す民主党案を容認した」との一部報道について、「日医の目指すところは全国一本化であり、その途中段階で、地域保険と職域保険への組み替えを提案しているが、それがゴールではない」とその違いを述べた。そして、現執行部発足直後から検討に着手し、政府の方針や現行高齢者医療制度の見直しの方向性に左右されることなく、別の次元で、真摯な議論を進めてきたことを説明した。

 さらに、現在、グランドデザイン全体の見直しを進めていることにも言及し、次の段階では、医師不足・医師偏在をいかに解消するかという提案も示したいとの考えを述べた。

 つづいて、中川俊男副会長が詳細について説明を行った。

 同副会長は、本提言は、1.日本医師会のこれまでの医療保険制度改革についての提案、2.厚生労働省のこれまでの医療制度改革案、3.医療保険制度改革にむけた論点整理、4.日本医師会が考えるあるべき医療保険制度─で構成されているとして概略を説明した後に、「日本医師会が考えるあるべき医療保険制度」について解説した。

 まず、すべての国民が、公平な負担の下で、同じ医療を受けられることが公的医療保険制度の根幹であるとして、それは年齢や、地域や、所得の違いによる格差のない制度であるとの基本理念を示したうえで、その実現に向けて、公的医療保険制度の「全国一本化」を提案しているとした。

 また、全国一本化までの4つの段階、「第1段階 高齢者医療制度も含めた医療保険制度全体の方向性の検討」「第2段階 地域保険の創設と職域保険の段階的統合」「第3段階 職域保険の完全統合」「第4段階 全国一本化」を示し、2025 年以降を目標に、都道府県ごとの地域保険および職域保険(協会けんぽ)を全国一本化する構想を表した。

 そして、統合一本化に向けた課題および一本化後の課題として、1. 国民健康保険と被用者保険の所得捕捉、2.国民健康保険における保険料賦課方式の統一、3.保険者による予防・健康増進機能の維持、4.医療費抑制、管理医療の阻止、5.事業主負担のあり方─を挙げ、いずれも、基本理念の実現のために避けて通れない課題であり、解決にむけて全力を尽くすとした。

 同副会長は、本提言は、日医のこれまでの歴史を踏まえ、現執行部が議論に議論を重ねて取りまとめたものであり、まずは世に問いたいとしたうえで、政府与党を中心に、精力的に理解を求めていく考えを示した。また、現執行部になって、社会保障等について徹底的に議論し、見直しをした結果、高齢者の医療制度をどうするかという次元ではなく、全世代の医療制度を一体的にどう改革するかの議論に至ったことを説明。そのうえで、「高齢者を保障の理念で手厚く支える」という理念は、これまでの日医の主張と全く変わっていないことを改めて強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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