白クマ
日医白クマ通信 No.1348
2010年11月16日(火)


定例記者会見
「看護職員が行う医行為の範囲に関する調査」結果を公表
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、11月11日、記者会見を行い、本年8月に日医が行った、「看護職員が行う医行為の範囲に関する調査」結果を公表した。

 本調査は、平成22年度厚生労働科学特別研究事業「看護師が行う医行為の範囲に関する研究」による研究班調査と同様の調査項目で実施したものである。

 研究班の調査では、「特定看護師(仮称)の創設を前提とした調査である」「調査対象が特定機能病院等の大規模病院が中心である」「専門看護師、認定看護師も調査対象にしている」―等の問題点があることを厚労省「チーム医療推進会議」等でも指摘しており、日医の調査は、地域医療の現場の実情を把握するために、地域医療を担っている医師と看護職員を対象として行われた。

 医師(47都道府県医師会および818郡市区医師会役員)、看護職員(その医療機関に勤務する看護職員)を対象に7,031名(回答率77.0%)から回答を得ており、全国の医療機関(種別、病院の病床規模別割合)を平均的に抽出した回答結果となっている。

 調査結果として、(1)「現在看護職員が実施している」30%超、(2)「今後看護職員の実施が可能」(「看護職員が可能」が「医師がすべき」を上回るもの)、(3)「今後特定看護師(仮称)の実施が可能」20%超―をリスト形式でそれぞれ、日医調査、研究班調査結果を並べて公表。

 (1)では、日医調査、研究班調査でおおむね共通した結果となったが、「手術時の臓器や手術機器の把持および保持(気管切開等の小手術助手)」(医師回答:日医調査51.8%、研究班調査16.1%)等で日医調査に比べ研究班調査結果が極端に低い項目があった。

 藤川常任理事は、これらの項目に対して、「500床以上の病院では、研修医が指導を兼ねて行っている場合が多く、医師の充足数により調査結果に差が出たのでは」と指摘した。

 (2)では、「今後看護職員(※看護職員(一般)+特定看護師(仮称))の実施が可能」と答えた割合が50%を超える項目は、日医調査では医師の回答で38項目、看護職員の回答で36項目であった。研究班調査では医師の回答で112項目、看護職員の回答で84項目であった。日医調査では、看護職員が実施可能な医行為の範囲を、より狭く考えられているとの結果となった。

 また、「医師が実施すべき」より「今後看護職員の実施が可能」が上回る項目(医師回答39項目、看護職員回答38項目)について、「看護職員(一般)が実施可能」より、「特定看護師(仮称)が実施可能」が上回るものは1つもなかった。

 (3)では、「今後特定看護師(仮称)の実施が可能」と答えた割合は、最も高いものでも、医師・看護職員とも「患者・家族・医療従事者教育」で、医師回答28%、看護職員30.7%に過ぎなかった。一方、研究班の調査結果では、最も高いもので5割を超え、対照的な結果となった。

 今回の調査結果を受けて、藤川常任理事は「現場では既に、多くの医行為が、医師の指示に基づいて診療の補助として看護職員により実施されていることがわかった。また、『今後特定看護師(仮称)が実施可能』とする回答は少なかった。従って、新たな業務独占資格である特定看護師(仮称)を創設することは、一般の看護職員の業務の縮小につながることになり、その必要性はない」との考えを改めて強調した。

 なお、本調査結果は10月29日開催の厚労省「チーム医療推進会議」、11月11日開催の「社会保障審議会 医療部会」等に資料として提出し、説明が行われた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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