白クマ
日医白クマ通信 No.1353
2010年12月2日(木)


定例記者会見
「入学・卒業状況調査結果を報告」
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、「平成22年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所入学・卒業状況調査結果」を公表した。

 本調査は、本年5月に、各医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の実態把握を目的として実施したものである。今年度は、新たに卒業後の進路についても調査を行った。各課程の概要は以下のとおり。

(一)准看護師課程:毎年学校養成所数が微減していたなか、今年度は、応募者が約2万8千人と昨年度の約2万人から大幅に増加し、倍率も2.8倍と過去5年間で最高の倍率となった(昨年度2.0倍)。倍率を地域別に見ると、最も高い近畿では4.4倍であった。

 また、入学者の最終学歴の割合を見ると、高校既卒者が50%で、短大・大卒者の増加傾向は年々増加し、今年度は18.6%にのぼった。

(二)看護師二年課程:定員充足率は、平成20年度から100%を切り、今年度は93.1%にとどまった。その理由としては、通信制へ進学しているケースや、経済的理由により、進学をあきらめるケースなどが考えられる。

(三)看護師三年課程:毎年、学校養成所数は増加している。今年度は応募者が約1万1千人と、昨年度の7千7百人から大幅に増加し、倍率も3.8倍と過去5年間で最高の倍率となった(昨年度2.7倍)。また、最終学歴の割合では、依然として、高校新卒者の割合が半数以上を占めているが、短大・大卒者の割合は年々増加し、昨年度の16.2%から19.1%となった。

(四)助産師課程:地域の産科医療崩壊の危機を背景に、今年度も新たに1校の医師会立助産師学校養成所が開設され6校となった。

(五)卒業後の進路では、県内就業率が准看護師課程は、50.6%で、准看護師として就業しながら進学した場合を合わせると87.9%。看護師2年課程は、79.7%。看護師3年課程は、81.7%といずれも全国の学校養成所の平均と比べて県内就業率が高く、医師会立の学校養成所が、地域の看護職員確保に多大な役割を果たしていることが改めて示された。また、助産師課程については、学校養成所が少ないため、他の課程に比べて、県外就業率が24.1%と高かったが、医師会立の学校養成所が県外からの学生も含めて、貴重な養成の場となっていることが窺える。

 同常任理事は、「本来、国民の生命・健康を守るために必要な看護職員の確保は国が責任を持って行うべきものであるにもかかわらず、平成23年度の厚労省の概算要求では、看護師養成所運営費補助金が6億5,900万円の減となっている。補助金が削減されれば、やむなく閉校にいたる養成所も出ることが予想され、地域医療に大変な影響を及ぼし、まもなく策定される第7次看護職員需給見通しも、根底から覆ることになる」と指摘。「国として補助金の増額や各種規則の柔軟な運用等により養成を支援していくよう、本調査結果を基に引き続き要望していきたい」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代)
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