白クマ
日医白クマ通信 No.1371
2010年12月27日(月)


日医、四病協と共に看護師等のプロジェクトチーム設置に抗議


 日本医師会は12月24日、四病院団体協議会とともに、厚生労働省に「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム(以下PT)」が設置されたこと、及びその検討事項等に対する抗議を行うため、細川律夫厚労大臣始め、阿曽沼慎司事務次官、PTのメンバーに対して、申し入れ書を提出した。

 当日は、日医から、羽生田俊副会長始め、今村聡・藤川謙二・鈴木邦彦各常任理事が、四病協からは、高橋正彦日本病院会副会長、猪口雄二全日本病院協会副会長、伊藤伸一日本医療法人協会副会長、山崎學日本精神科病院協会長がそれぞれ出席し、厚労省の大谷泰夫医政局長、外口崇保険局長、金子順一労働基準局長に申し入れ書を直接手渡した。

 今回問題とされたPTは、労働時間管理の適正化等、看護師等の勤務環境や雇用管理の改善に関することを主な検討課題として、厚労省内に設置されたものである。そのメンバーは、医政局長、労働基準局長、職業安定局長、保険局長、医政局看護課長、労動基準局労働条件政策課長、職業安定局首席職業指導官、保険局医療課長で構成され、平成22年度内に検討結果を大臣に報告するとともに、関係局長通知として関係者に周知するとしているほか、診療報酬に関しては、PTでの議論を受けて、中医協で検討するとしている。

 この件に関しては、12月22日に開催された日本医師会・四病院団体協議会懇談会で急遽議題として取り上げられ、「問題が多く、厚労省に対して抗議すべきである」との考えで両者の意見が一致。今回の申し入れ書の提出は、この決定を受けて行われたものである。

 申し入れ書のなかでは、PT設置反対の理由として、「多くの職種によるチーム医療によって、より良い医療を提供しているのであり、看護職員のみを特定して雇用の質を論ずるべきではない」「診療報酬に関連した問題は、中医協において議論すべきものであり、厚労省の省内のみによる議論の結果にしばられるものではない」「日医、四病院団体協議会は、説明を受けたが、あくまで設置したという報告であり、了承したものではない」の3点を挙げ、その改善を求めている。

 申し入れを行った羽生田副会長は、「このようなPTを作るということは、厚労省は看護師等だけのことを考えているのではないかとの疑念を抱かざるを得ない」として、今回の厚労省の対応を批判するとともに、厚労省は省として医療全体のことを考えていくべきだと述べた。

 医療関係職種を担当する藤川謙二常任理事も「雇用の質の問題を考えるのであれば、まずは勤務医が先なのではないか。PTの検討項目を見ると中医協に対する越権行為にもつながるものもあり、問題だ」と主張。さらに、「われわれは看護師等の労働条件を守ることに日々努めているが、それをさらに厳しくするのであれば、民間病院から看護師等がいなくなり、地域医療は崩壊してしまう」として、今回の申し入れに対する理解を求めた。

 今回の申し入れ書を受け取った厚労省の3局長はいずれも、申し入れ書の趣旨に理解を示し、今後は各団体の意見も聞いたうえで議論を進めていく意向を示すとともに、「日医始め、四病協の先生方の理解無くして、厚生労働行政を進めることは出来ない」として、今後の協力を求めた。  

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)


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