白クマ
日医白クマ通信 No.1373
2011年1月13日(木)


定例記者会見
「医療イノベーション推進室」設置に関連し、先端科学を支援する日医の姿勢を説明
―羽生田副会長

定例記者会見


 羽生田俊副会長は、1月12日の定例記者会見で、政府が7日に、内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置し、中村祐輔東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長を室長に任命したことに関連して、先端科学に対する日医の姿勢を説明した。

 初めに、同推進室が、「国民の健康と生命に資する先端科学の研究を日本人の英知を結集して推進し、日本発の医薬品や医療機器の開発・実用化等を目指すもの」とされたことについて、同副会長は、「われわれとしても推進していただきたい分野である。また、日常診療に携わる医師にとっても、現代は、生活習慣病の最前線の治療に先端科学が入ってくる時代であり、先端科学は身近なものとして理解する努力が求められる」と述べた。

 中村氏は、会内の三大会議の一つである学術推進会議(座長:久史麿日本医学会長、会長諮問:「先端科学の臨床応用」)の委員であり、その研究姿勢は、終始一貫して、研究の成果が「患者の役に立つ」ことであると説明。がん治療薬への取り組みを進めるなかで、「がんペプチドワクチン療法」の開発は、標準的治療を失い、ドラッグラグとデバイスラグで苦しむ多くの患者の臨床研究に寄せる期待に応えようとするものである。そのがん臨床研究が停滞すれば、医療現場で日常診療に加えて研究を行う医師たちを失望させ、結果として、患者を科学的エビデンスの乏しい民間療法に誘導しかねないと中村氏は警告を発している。

 また、中村氏が、20年前から執筆料等を「がん遺児奨学金制度あしなが基金」に寄付、さらにオンコセラピー・サイエンス社の株式上場に際して発生した利益をもとに「あしなが育英会オンコセラピー奨学基金」を設立するなどの活動を行っていることを紹介し、「きわめて高潔無私な科学者であることは衆目の一致するところである」と述べた。

 そのうえで、同副会長は、ヒトゲノム・遺伝子解析、臨床研究、再生医療等の先端科学について、「日医は、日本医学会と連携をとりながら、生涯教育の推進、医療倫理の高揚に努めるとともに、制度面、財政面に関する国政への働き掛けを積極的に行うことで、中村教授に代表される、真に国民の幸福を願う医師や医学研究者を支援していく所存である」との考えを示し、同分野の今後の推進に期待を寄せた。

◆問い合わせ先:日本医師会企画課 TEL:03-3946-2121(代)


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