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定例記者会見 「医療における規制改革とTPPについての見解」 ―中川副会長 |
同副会長は、まず、日本の公的医療保険が、外国からの市場原理の導入、外国資本の参入を求められてきた歴史的な経緯を示し、さらに、2010年6月、政府が「新成長戦略」を閣議決定し、医療・介護・健康関連産業を日本の成長牽引産業として明確に位置づけ、医療の国際化推進を決定したことにより、営利を追求する意見や動きが目立ってきたと指摘した。 また、同副会長は、現在、行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会や、総合特区制度において、医療の市場開放にむけての議論が急展開していること、さらに、TPP(Trans-Pacific Partnership,環太平洋連携協定)は、内閣官房が、「国を開き、日本を活性化するための起爆剤」と位置付けていると述べ、2010年11月に閣議決定された「包括的経済連携に関する基本方針」により、外国人医師の受け入れの拡大や病院が外資系になる可能性等を懸念するとした。 そして、外国人医師の受け入れの問題として、公的医療保険の診療報酬では高額な給与を支払えないため、病院は高額の自由診療を目指すことや、クロスライセンス(お互いの国の医師免許を認めること)により、教育水準の違いから、日本の医療水準が低下する危険もあると述べ、日本の医療は、高い医療水準が確保されている日本の医師免許の下で行なうべきであり、医師不足は、日本の医師数増加によってきちんと解決すべきであると主張した。 また、外国資本を含む企業などが日本の医療に参入することについては、「外資系を含む営利企業の病院などは、いずれ公的医療保険ではなく、高額の自由診療を行なうようになる。高額の自由診療を行う病院が増え、病院は自由診療で良いということになると、国は公的医療保険の診療報酬を引き上げず、公的医療保険で診療していた地方の病院などが立ち行かなくなる」との問題点を摘し、国民皆保険の崩壊を危惧した。 最後に、中川副会長は、「医療が自由価格で提供されるようになれば、本当にお金がなければ医療が受けられない時代が来てしまう。外国資本の営利企業は、日本に自由価格の医療市場を迫っており、『混合診療の全面解禁』『医療ツーリズム』『株式会社参入』『外国人医師』は、その象徴である。日医は全力を挙げて、国民皆保険を守る」と明言した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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