|
定例記者会見 「規制・制度改革に係る方針」に対する日本医師会の見解 ―中川俊男副会長 |
同副会長は、「東日本大震災の混乱はいまだに収まらず、ようやく復興に向けた動きが始まったなか、行政刷新会議が会議も開かず、検討過程も公表せずに方針を取りまとめ、閣議決定に至ったことは非常に遺憾である」とし、審議会等の議論も尊重せず頭越しに閣議決定を行っていることを批判。さらに、「今回の方針には、改革の方向性が一切示されていない。これでは、震災の混乱に乗じて、関係者が恣意的に項目を調整、抽出したとの疑念も拭いがたく、政府に対し大きな不信感を持たざるを得ない」と述べるとともに、今後の動向について厳しく監視していくとした。 同方針については、「ライフイノベーション分野」のなかの、(1)「医療法人の再生支援・合併における諸規制の見直し、(2)医師不足解消のための教育規制改革―の2項目を問題視し、日医の見解を述べた。 (1)では、「医療法人と他の法人の役職員を兼務して問題ないと考えられる範囲の明確化を図る」との文言に、“他の法人”とは、営利企業を想定しているものと考えられるため、営利企業の医療への本格的な参入につながる懸念もあることから、認められないと強調。 「医療法人が他の医療法人に融資又は与信を行うことを認めることの必要性について検討する」とされたことについては、医業の範囲を超えており、いたずらに効率化を進めかねない点を指摘し、その前に、公的融資制度の充実を図るべきだとした。 「法人種別の異なる場合も含めた医療法人の合併に関するルールの明確化や、医療法人が合併する場合の手続の迅速化について検討する」との文言には、医療法人と株式会社等の営利法人等との合併、事業譲渡等による経営統合を想定している可能性があるとして反対の姿勢を示した。また、合併手続きの“迅速化”が、都道府県医師会が参画する医療審議会による意見聴取義務の撤廃を意味しているのであれば、地域医療の実情を考慮しないことになりかねないことから、この点でも反対であるとした。 (2)では、「基礎医学研究者を含む医師不足や養成数の地域偏在といった現状認識を踏まえ、医学部やメディカルスクールの新設も含め検討し、中長期的な医師養成数の計画を策定する」とされたことについて、文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」での議論がまとまっていない段階で、医学部やメディカルスクールの新設も含めることを閣議決定したことは問題であると主張した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
|
日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/ Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved. |